小説 | ナノ

 みらいのはなし

「10年後?アニスちゃんは玉の輿に乗ってる決まってんじゃんっ」

「…だよなぁ。
…アニスの想像する未来のどっかに、俺はいる?」

「当たり前でしょ、ファブレ子爵さま♪」

「(……パトロンか)」


ケラケラと笑うアニスと話しながら、昨日見た夢を思い出して微笑む。

幸せな夢だった。
ちょっとだけ成長したみんなと笑いあってる自分の夢。

外見以外は今と全然変わらず、夢の中の俺たちはみんな幸せそうにしてて、ああ、これが俺の望んでいる未来なんだなって思った。


「ルークもティアも、ガイやナタリア、大佐、もちろんイオンさまも、みんなちゃーんといるよ」

あ、あとミュウもね、とアニスは楽しそうに話を続ける。
言葉にはしないけれど、俺たちのこともちゃんと大切に思ってくれているんだって伝わってきて、なんだか嬉しくなった。

「ガイは、なんだかんだ言ってブウサギの散歩係を続けてそう」

「ピオニー陛下に気に入られてるし、なによりブウサギになつかれてるもんなぁ」

「うんうん。大佐はピオニー陛下のお守り役とかかな〜♪イオンさまはそのまま導師で、ナタリアもそのまま王女、ルークは子爵さまでしょ、ティアは…」

そう言いかけてニヤニヤしながらちらりと此方を見たアニスに、ドキッとする。
ティアの未来に、俺はいるのか、本人にはなんか聞けないけど、本当はそれが一番気になっていること、やっぱりアニスには簡単に見破られてしまう。


「ティアはルークの頑張り次第かなぁ。どうせルークの未来のティアは、お嫁さんでしょ〜?」

「…なっ…なにいってんだよ!んなわけねーだろっ」

「ふふふ。アニスちゃんにはわかっちゃうもんね〜」

「なんだよそれっ!…ちっ、ちげーからな!!」

誰にも聞かれてないよな。特にティアとジェイド。
談話室から廊下に顔を出してキョロキョロと回りを見渡す俺を見たアニスは、大声で、ティアがルークのお嫁さんねぇ〜とか色々言い始めた。

談話室には当然他の人もいるわけで。なんか茶を飲んでたばあさんに笑われた。

やっとアニスを黙らせたところで、

「私がどうしたの?」

声が、聞こえた。

自分の名前が聞こえて、気になってこっちに来たのだろうか。すぐそばに暖炉があるというのに、さっと全身の血が冷えたように感じる。
ガイやナタリア、イオンならよかったものの、まさかティアに聞かれてしまうなんて。

もしかしてお嫁さん発言も聞こえてたりして…と不安になってティアを見つめるものの、いたっていつも通り普通だったのできっと聞こえなかったのだろう。とりあえずよかった。

ティアの姿を捉えたアニスは、口を塞いでいた俺の手から逃れて、暖炉のそばに座るとやたらニヤニヤしながら話しはじめた。

「ねえねえ、ティアの想像する未来に、ルークやあたしたちはいる?」

「未来?
ええ、もちろんいるわ。ルークもアニスも。
私たち、きっと何年経っても今とあまり変わらないんじゃないかしら。旅は終わっても、ときどき集まったりとかしてると思うわ」

ティアはふわりと微笑んでそう語る。俺はちゃんとティアの未来にいるみたいだ。ちょっと嬉しい。変わらない俺たちを想像したのか、ふふ、とティアが笑う。その横顔がとても綺麗で、思わず見惚れてしまった。


それからしばらくし話してると、アニスが眠たそうに目を擦りながら立ち上がった。

「(…ふたりっきりにしてあげよーっと♪盗み聞きはするけど)
ふたりともー、あたしもう眠いから寝るね。おやすみぃ〜」

「もう寝るのか?おやすみー」

「おやすみなさい」

大きなあくびをしながら、アニスが部屋を出ていく。いつのまにかばあさんもいなくなっていた。
2人きりになった静かな部屋で、そっと口を開く。

「俺さ、今日夢見たんだよ」

「夢?」

「うん。
未来のみんなと笑ってる自分の夢。すげー幸せそうだった」

「それで2人で未来の話をしてたのね」

「そういうこと。
気付いたらさ、みんながいるんだよ、自分の描く未来に。それってすげーいいことだよな。大切に想ってる証だから」

「ふふ。そうね。
…旅をし始めた頃は、あなたとこういう話をするなんて想像つかなかったわ」

「俺も。俺の前ではそうやって笑ったり絶対しないんだろうなって思ってたし」

「そうね、あの頃は…。あなただって、前はいまみたいに柔らかく微笑んだりしなかったわ」

「そうか?自分じゃあんまわかんねーな」


笑ったり、ときどきちょっと文句を言ったりして。昔のことや出会ったときのこと、今のこと、未来のことまで、時間を忘れてたくさん話をした。
結局いつのまにか2人で寄り添ってソファで眠ってしまっていて、朝起きたらなぜか隣にアニスもいて。



その日みたのは、アニスとティアと俺で、前にこんな話をしたんだってみんなに楽しそうに昔話をする俺たちの夢だった。


fin

───────
あけましておめでとうございます!
季節ネタとか完全スルーしててすいませんw

とりあえず被ってないか心配です(・・;)
もし他の方の作品と被ってたら申し訳ないです…

たぶんアブソーブゲートで師匠倒してまた合流した後くらいだと思います。……たぶん。←

でもそのあとイオンさまが亡くなり、ルークが近い将来消えるかもっていう事実を知らされるんだよな……って考えると
このネタは酷ですね(..)
私のEDは赤毛'sふたりともちゃんと帰ってくることになってますが。

アニスが隣にいたのは、ご想像にお任せします←え
だってルクティアニスのセットが書きたかっただけなんだもん…(w

んー。聞き耳たててたら急に聞こえなくなって、中覗いてみたら2人が寝てて、寒いからアニスもルークに引っ付いて寝ちゃえみたいなかんじかな?←無理矢理だな




110105 べべ


prev / next


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -