二年後…


「籠女様…新たな任務です」

『んー?』


手渡された密書を受け取る

今では上の幹部達と話をつけて

"根"の暗部に回されない任務だけをこなす

部隊となっている



「どうなされます?」

『一つ目は、分身二体と犬に行かせるわ…二つ目は猿、猫、羊の三人に任せる』

「御意」




三人の小隊で任務をこなすのは"真"のルール

まぁ私が作ったルール

そして、私の監視でなく必ず一緒に任務を

遂行させるのが"真"のメンバーのルール

これも私が作ったルール




この形で二年の月日が経ち

私も二十歳になった



『少し外に行ってくる分身を置いておくから何かあったらソレに伝えて』

「御一緒しなくても『大丈夫』わかりました」



最近では監視なしで一人で外に抜け出しても

何も言われることはなくなった




黒のマントを見に纏い外に出る

自由…。

おかしい

この二年間…私が器に宿ってからの二年間…

全てが私の思うがままに進んでいる

いままでとは違う

誰にも愛されていないとは思わない

現に私の周りの"真"のメンバーは私を慕って

くれている気がする

しかし、それは狂った愛情ではない

だから不安になる

こんなに…



「て…」

『ん?』

「す…けて」



声が聞こえた

何処から?


『あっ』


崖の下から聞こえる、か細い声

辺りは真っ暗だが視力には自信がある

そこに居たのは、女の子



『なんで、あんなところに』



一歩間違えたら死んでしまうかもしれない

しかし自分の身体能力なら彼女を助けるのは

容易だろう



飛び降りれば彼女を抱き抱えて助け出す



「あ…、りがと…」

『どうして、あんなところに?』

「落ちたの…」

『落ちた?』

「助けてくれてありがとう籠女ちゃん…」

『小鳥!?』

「ま…た…会え、ね…」



頬に添えられる手は冷たく

身体も冷えきっている

でも、どうして小鳥が此処に?

とにかく

はやく連れて帰らなければ





『着替えと、お風呂準備して』

「籠女様!その者は?」

『言われたことをやれ!』

「はっ」




連れ戻った小鳥を着替えさせて

意識が戻るの待つ


この子は、あの小鳥なのだろうか

しかしこの子は…。



『っ』



早く目を覚ませ!




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