渡された多数の任務…。

一つの任務につきスリーマンセルの小隊で

行動させるのが当たり前らしい

ようするに一つの任務につき分身が三体



『私以外に忍ってのは、いないの?』



私の監視に人手をまわすより

任務に参加してほしい…これが本音


しかし彼等は動物の面と黒いマントに身を包み

ただただ私の監視をしているだけ

話しかけても返事は帰ってこない


まぁ、頼み事をすると最低限の願いは

叶えてくれるようだ…。




『ねぇ』


首を傾げてくれるわけでもなく

本当に話を聞いているのかすらわからない

こちらから近付き話しかけて初めて会話が

成立する。



『外に出てもいい?』



"コクッ"




首が縦に頷く今回のコイツは男だろうか?

まぁ外に出る許可は出たんだ。





外に出て大きく伸びをすると後ろを振り向く



『ついてきたの?』


"コクッ"


『命令だから?』


"コクッ"


『オマエが私と口を利かないのも?』


"コクッ"




じゃあ…



『私の願いは聞いてくれる?』


"コクッ"


『その面を取って私と話をして』


"フルフル"


初めて首を横にふる

しかし、もう



『約束だから』



身体が軽い

少し走ったつもりなのにあっと言う間に

ソレに近付き面を取るのと同時に頭まで

被っているマントを剥ぐ



「っ…」

『やっぱり、男』

「返してください」



黒野マントを上回るくらいの何処までも黒い髪に

黒い瞳…私とは正反対の彼…。

初めて彼と言葉が交わせた



『いやよ』

「貴女はいったい…。」

『ん?』

「その、昔は…『人形のようだった』っ」

『でしょ?』



私が死ぬまで依り代達は感情を持たない人形

人形達は教え込まれたことをやり遂げるだけ

多分人形のまま生を終えた依り代達も

数多くいるだろう。

実際生まれ変わって直ぐに死んだことだって

何度もある。



十代の私は友達を作り遊んでみたかった

二十代の私は買い物や恋愛にも興味があった

三十代の私は自由を求めた

それ以外にも様々な憧れや興味、夢があった

どれも叶うことがなかったが…。




『冷たくしないで』

「そんな哀しそうな目で見ないで下さい」

『じゃあ、約束』

「本当におかしな人だ…。」


差し出す小指と彼の小指が交わり

約束



『貴方、名前は?』

「猿です」


サル…って、いや、それ名前じゃないだろ?


『嘘つき』

「強ち嘘ではありません、貴女にも実際名が二つあられるはずです」

『私の名前?』

「此処で私の口からお教えすることは、できません」

『命令』

「っ…」



耳元で小さく囁かれた名前



凛音



私にも、名前が…。

籠女ではない初めての名前


やっぱり今期の私は不思議だ。




『凛音…。』

「ちょっ、籠女様!!むやみに、真名を口にしてはいけません!貴方様を守るのも我等の任務なのですから」

『そう!』

「ぇ」

『その、任務なんだけど』

「…」

『私なんか守らなくていいからさ、一緒に私の任務手伝ってよ』

「貴女様が、それを望むのなら」




2013/03/17

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