「籠女…起きなさい」



目を覚ますと生温い液体のなか

私には始まりがない

生まれた喜びに触れたことがない

今回の私は…この液体が始まり



「火影からの命令じゃ」



渡された巻物…立ち去る老人…。




私の設定と言える記憶が流れ込む



私は木ノ葉の里の暗部の中の更に

極秘の存在の部隊のリーダー




暗部?なんだそれ?




でも、何処かで聞いたことのある名前


そう言えば昔…。

私に近付いてきた不思議な子がいたな



「籠女ちゃん、聞いて」

『なぁに?』

「私、生まれ変わったらNARUTOの世界に行きたい!いや行くってばよ!」

『ナルト…なに、それ?』

「やだなぁNARUTO知らないなんて遅れてるなぁ…え?ほんとに知らないの?今すっごく人気の漫画だよ!」

『へぇ…』









「籠女ちゃん聞いて、今日のアニメで暗部の…」




アンブ…あった…。

この記憶だ



この時の私は楽しかったと思う

しかしある時、彼女は私のところに

こなくなった。


多分…殺された




『小鳥…あまり、私のところに来るな』

「え?なんで、小鳥は籠女ちゃんのこと大好きだよ?」



誰かを惹き付ける能力でもあるかのように

私に関わる者は私に執着する

だから最後には…









まぁ、そんなこと、私には関係のないこと


ようするに漫画の世界に生まれ変わったんだ


これを、トラップ…トリップ…グリップ、ん?

そんなこと、どうでもいい!

しかしNARUTOの元ネタを知っておけば

楽に今代も終われたのかもしれないな



後悔しても仕方がない!

習った覚えもないのに記憶にある印を結ぶ

現れたのは見覚えのある自分が三体




影分身の術



記憶と思考が一致しないのが

毎回のことながら厄介

何処ぞの家庭に生まれたのであれば

ただ座って話をして飯を食べて眠って…

死が訪れるまでその繰返し。

しかし、このような特殊設定は前にも

あったような…なかったような…。

古すぎて覚えてられるか!


液体から脱け出せば肌にくっつく赤い長髪を

後ろに振り払い服を身に纏う




そう言えば、あの分身達…どこに行った?

















窓辺に胡座をかき渡された巻物を読んでいると

三つのビジョン…大勢の人を私が

正確には先程の分身が殺している

なぜ?


心当たりは、この巻物の

抜け忍の抹殺




今回の私は随分と自由に動けるらしい

監視付だが…。

それでも、こんなに身勝手に動けるなら

監視の一人や二人…いや、それ以上か

まぁ、どおってことない!


だって、こんなに自由になれたのは

何百年振りだろう…。

ようは任務とやらを遂行させれば早い話

自由が訪れる、そして有り難い話だが

その任務も私の分身がやってくれる



『こんな好都合な条件で産まれたんだ』



死んでたまるか





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