ファントムハイヴ家 8 / 10
08

セバスチャンが扉を開くと...

そこには石庭があった。


「「どうぞおくつろぎ下さい」」

「おお…!Prodigioso!」(※意:すばらしい)

クラウスは感嘆の声を上げ、辺りを見回した

「日本に伝わる石庭(ストーンガーデン)と申します」

「東洋の国独自の庭ということです。どうぞ、お掛けになってください」

ナマエは軽く説明しながら椅子をひき、クラウスに座ってもらった

「アヤメが実に美しいな

枯れ木と花…"ワビサビ"というヤツか」

その間、セバスチャンは急須を取り出し、クラウスの器に注いでいた

「お茶まで日本風か

凝り性だな君も」

「勿体無いお言葉恐縮です」

(あれ田中さんがいつも使ってる急須よね……
実際はティーカッブがないだけなのだけれど……相変わらず口八丁手八丁)

ナマエはセバスチャンの胡散臭い笑顔を見ながら、心の中で毒づいていた

「…ところでクラウス。例の品だが」


「ああ、約束通り持ってきた




君が欲しがっていたゲームだ」

シエルの問いにクラウスは『MOUSE3』と描かれた小さな箱を取り出して渡した。

「イタリアでは未発表でね

手に入れるのに苦労したよ」

「ふん、苦労ね
電話からやたら強調するな」

2人は互いに言葉に棘を含むませながら話す


「そりゃそうさ。

王子様は従者に苦労に見合う"ご褒美"をくれるものだろう?」


「"ご褒美"に見合うゲームならいいがな

この間クリアしたのはさして面白くもないエンディングだった」

「やれやれ、君の手にかかればゲームなどひとたまりもないな

どうせまたすぐに次をよこせと言うんだろう?」

そう言われるとシエルは笑みを黒く染め、
「そう。僕はゲームに貪欲だ」

と言い放った。


「そんな君だから12歳にしてファントムハイヴをイギリス一の玩具メーカーに成長させたんだろうがね。



まったく末恐ろしいよ」


そこに、先程まで裏で準備していた使用人たちが料理をもって現れた



≪≪prev

■■さいととっぷ


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -