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「――邪魔すんなよカス先輩っ」



一方まんまと逃げられてしまったベルはスクアーロを睨んだ。16とは到底思えない、プロの暗殺者と名乗るにふさわしい殺気が辺りを漂う。しかしそれはまだ実力のみであり、最低限抑えておかなければならない自己というものを理解しきれていない危うさを秘めている。


それに対し、呆れたように息を吐くスクアーロは、ふと一般人であるはずの(…そろそろ少し疑いたくなってきたが。)名前という女を思い浮かべた。



(この4日で随分と懐いたもんだぁ…)



あのザンザスとでさえも上手く(殺されずに)やっていけているのだ。自分も、特に近付くことを拒否する気持ちはない。


一般人…何の危険もない、平和ボケした世界で生きてきたはずの女。


だからこそどこか惹かれるところもあるのかもしれない。そう思っていた。


―――だが。



(…――そんな、単純に作りの甘い人間は普通なら虫唾が走っているはずだ…)



ヴァリアーなどに居る者達ならば、大半はそうだろう。汚れない手、心。そういったもので包まれた瞬間。


自分達は、確実に拒絶する。それは間違いなく嫌悪からだ。


そんな"偽善"は、"優しさ"でも"救い"でもなんでもない。


口だけでは何とでも言える。そう言って突き放せばいつも決まっている。「貴方の気持ちは解る」「私が居る」そんな薄っぺらい常套句。


それなら闇に堕ちてみれば良い。一度でも血に汚れたなら、話くらいは聞いてやるよ。


お前が居て何になるんだ?
ただの目障りなだけの偽善者が。


白いものは嫌いだ。"綺麗"なものなんか見たくない。


そしてそれらを体現したような人間が、一番憎らしい。






















(名前…お前は違うのかぁ?)








(ただ平和に幸せに生きてきた、普通の一般人でないことだけは)







 

mokuji



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