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「…痛い?苦しい…?」



とある家のリビングは血で汚れていた。
その中には着物を着た1人の女が佇んでいた。生きているものは彼女を除き、血を流している幼い男1人だけだった。

「君の両親は私のかわいい同胞を狩りすぎた……

これはその報い。
ヴァンパイアハンターとして名の知れた錐生一族だったけれど―――

"純血種"の私にかなうはずもあるまいに……」


___

side 優姫



「…優姫…

この子の両親は悪いヴァンパイアに殺されてしまったんだ」

それは四年前の寒い冬の夜。理事長に連れられてきた零に会った。

「運よくこの子だけが助かったんだよ。
ウチで面倒を見ることにしたからね…?」
理事長の隣にはキレイな銀色の髪をした男の子がいた。男の子には所々血が付いていた。

「見てのとおり血まみれだからお風呂に入れてあげて。
僕はこれから警察とかに用があるから」

そう言って黒主理事長はまた外出して行った。

「ええと…じゃあとりあえずお風呂に……」

「……」


「…さわっていい…?行こ……」


そうして恐る恐る零の背中を押して私はお風呂に案内した。

「バスタブにお湯はってあるから好きに使ってね。


……………んーと…じゃあ…

脱がせるよ…?服……」


玄関で出会ったときから何も話さなかった、いや、話すことができなかった零に私はいちいちお伺いをたてた。

服を脱がせると、首元にはたくさんの血があった。
幼かった私は返り血か、ケガか、緊張しながら濡らしたタオルで拭くとケガでは無いことにひどく安堵したものだった。

なぜ零にそんな用心深く接したか……

そうしないと目の前の少年が壊れてしまいそうな気がしたから……




今日の零は四年前に初めて会ったあの夜と同じくらい顔色が悪い……

――――――

登校の準備が終わった名前は、窓の前で物思いに更けていた。

「近頃の零はもう限界まできてる……
もう我慢できる域じゃないよ………
おそらく今夜あたりで………

遅いかもしれないけど出来ることなら……」

思考にふける名前の耳にドアがノックされた音が聞こえた。


「おい、名前。俺は今日玖蘭に呼ばれているから先に行くぞ」

ノックをしたのはルキだった。
用件を伝えると彼は早々に行った。

ルキが去っていたのを確認すると名前は使い魔を呼び寄せ、伝言を伝えてから自分の下から飛び出させた。

「間に合うといいけどね…」


mokuji
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