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「早くしなよーっ」
「ちょっと待ってラッピングが…」
「誰に渡すの?」
「えーーっ決まってるでしょ」
「おはようーっ」
「いよいよ今日だよねっ」


デイ・クラスの登校時間、女子はある話題で盛り上がっていた。



_____




「なに…………



なんでこんなに朝から騒いでるの……?」

名前は普段寝ている時間だが、外の様子が騒がしくて目が覚めてしまった。

そして今日は何かあったかと思いやる。


「2月14日………





『聖ショコラトル・デー』だ。


………………………




やばいっ何もしてない!」


名前は今日が何であるかを思い出し、急いでベッドから起き上がってキッチンの方へ向かっていった。



―――宵の刻



「はいはいはい並んで並んで!


そこ!フライングしないように!」



――ナイト・クラス登校。デイ・クラスとの校舎入れ換えの時間


「おおーっっ今年はなんだか皆気合い入ってない!?すごい!楽しそう!!」


「ふぁ…俺は寝不足……」



「はい!聖ショコラトル・デー恒例
『デイ・クラス女子ゲートイン!チョコを渡せるのは何人まで!?レース』

ナイト・クラスの皆さんは沿道に並んでるご自分のゲートに立って
一列に並んだ女子たちからチョコを受け取れるだけ受け取ってあげて下さい!!


ご協力お願いします!


いいですか?ナイト・クラスの皆さん
遊びではありません!女の子たちは真剣ですから!」


「うわーっっ!!一つも残らずもらってあげなきゃねーっっ」


優姫の説明中に藍堂英は自分のゲートへ駆けて言った。

「藍堂。行儀よくするんだよ?

わかっているね……」

「……はい」

枢に牽制されて。

「俺キョーミない」
「言ってやれよ」


「あれ…?

ルキのゲートがない…………



実は恐ろしい参謀系ドSと本能で悟られてるの?」



「バカを言え。俺に失礼だろう」


「違うわよ。名前と無神サンがデキてるってデイ・クラスでも噂されてるからよ」

名前とルキの遣り取りに呆れた莉磨は思わず口を挟んだ。


「あっ莉磨。はい、チョコどーぞ」

「ん、ありがと」

名前は後ろを歩いていた莉磨に振り返ると白くラッピングされた箱を渡した。


「ルキにはさっき渡したし………


…はぁ…」

「どうしたの名前?」

「いや、実家の方にチョコを今朝使い魔で送らせたんだけど、

しょうがねぇからもらってやるよ、でもこれだけじゃ足りねぇから今度帰って吸わせろ

って返ってきた。

コウ達はホワイトデー楽しみにしててねって返ってきたのに。


先が思いやられる……」



「名前も大変ね」

「全くだな。逆巻の奴らも相変わらず野蛮なことだ。


おい名前、絶対に許すなよ」


「分かってる」

「アンタも大変ね」

「莉磨面白がってるでしょ」
「別に」
「嘘…」



今後の事に後ろ髪を引かれる思いながら名前たちは校舎へと歩いていった。

少し後ろに歩いていた枢は優姫からチョコを貰っていた。
藍堂はナンパをしていた。




_______



「『ヴァンパイア』は『人』の血を好み長寿で夜行性…
獰猛な一面もあるが大概その姿は美しく、気位は高く、優れた知能と身体能力み持つ……


まぁデイ・クラスの子達がわーきゃー騒ぐのも無理ないさ……


ナイト・クラスの授業おくれるねね。



さて零?」

「はぁ……は……」


理事長の話を黙って聞いていた零はそれほど余裕がないのか息を切らして床に座り込み、壁にもたれている。


「避けても逃げても何も変わらない。

なのに君はいつもギリギリまで無理をして……」
「やかましい……………っ
は……あ……っ!


はあっはあっ」

「零。楽になるから飲みなさい」


苦しむ零に理事長は水の入ったグラスと包装された薬を差し出した。


「……中身は」


「…君の知ってるものだよ」


パンッ



零の問いに理事長が答えた瞬間、零は理事長の手を払い、黒主理事長が持っていたグラスは床に落ちて割れてしまった。


「…絶対にいやだ」


「……最近、発作の間隔が急に短くなっている。このまま拒み続けたらもっと辛くなるだけだよ。
もう今までどおりじゃいられないことをいい加減にわかりなさい。



………いや………もうわかっている…か…」







mokuji
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