第三章 12-1
あの後、リタを宿屋に引っ張ってきたアルティナだった、が。
「ちょっとアンタ、あの子元気無いみたいだけど大丈夫なのかい?」
「………………」
宿屋のおばさんにまで心配させる始末であった。
大丈夫なわけあるかっ!!
……と言いたいのはやまやまなのだが、別におばさんが悪いわけでもないので口に出して言わなかった。
リタは部屋に篭り(閉じこもっているわけではない)、ふさぎ込んでしまって食事もロクに摂らない。
エリザが死んでしまったことが、そんなにショックだったのだろうか。
しかし、あの落ち込みようを見ていると、それだけではないような気がする。
黙り込んだアルティナに何を思ったのか、おばさんは皿に乗せたおにぎりを手渡し生暖かい目でアルティナを見ていた。
「あの子、あんまり食べてなかったみたいだから……これをあげておくれ」
「はぁ……」
なんとなしに受けとってしまったが……これ(おにぎり)、結構デカくないか?とか思っていると、おばさんは少々涙ぐんで「そうだよね、本当はアンタが一番心配だよねぇ」とか言いながら去って行った。
「何言ってんだあの人……」
おばさん達の思考回路には、ほとほと付いていけない……そう思ったアルティナなのであった。
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