第三章 06-1
病気の原因および解決法を報告するため、リタとアルティナは町長の邸宅に舞い戻った。
町長は変わらず書庫に篭っていたらしい。リタ達が戻ってきたと聞くと、相手は待ちわびたというように飛んできた。
「おお、旅の方、待っておりましたぞ。それで何か分かりましたかな?」
リタ達は、ルーフィンの言っていたことありのままを町長に伝えた。
流行り病の原因は病魔の呪いだったこと。その呪いを解くには、この町から西にある祠の封印を直す必要があるということ。しかもそれが出来るのはルーフィンだけだということ……。
あらかた報告を終えると、町長はふむ、と呟き片手を自分の顎に添えた。
「なるほど、事情は分かりました。……そういえばあなたは見たところ、なかなかウデがたちそうなナリですな。どうでしょう、あなたにルーフィンの護衛を頼めませんかな?」
「護衛……ですか」
「祠へ行くのが危険だと言ってるなら護衛を付けてやれば問題ないでしょう。どうですかな?」
リタは、ちらと隣にいる仲間を盗み見た。……とはいえ相手とはバッチリ目が合ってしまったのだが。
――この顔は「好きにしろ」という意味だろう(多分)。というか、そう思うことにした(勝手に)。
しかし、このリタの予想は、あながち間違っていなかったりする。
了承すると、町長はパッと顔を輝かせた。
「おお、やって下さいますか!ありがとうございます。ならば善は急げだ」
そう言って、町長はなにやら慌ただしくどこぞへと姿を消し、しばらくしないうちにまた戻ってきた。
「そうだった、祠の鍵はあの僧侶に渡したのだ……」
「鍵?」
祠に入るには、なにやら鍵が必要らしい。
そして、それはなぜか僧侶が持っている、と。
「さっき、祠から嫌な気配を感じると言った僧侶がいたのです」
その僧侶に鍵を渡したということだった。
「僧侶はすぐに祠へ向かったということですから、あなた方が行った時に鍵が閉まっているということは無いと思うのですが……」
「分かりました。ルーフィンさんを呼んだらすぐに出発しますから」
「頼みましたぞ」
そうして、二人は町長の屋敷を辞した。
ルーフィンの研究室に戻り、今し方の依頼のことを話すために。
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