第五章 03-2
と、まぁそんな会話をしていたのだが。
「リタ……誰とお話してますの?!」
少女が一人、そこに何もいない且つ見えない誰かと話している。そんな様子ははっきり言って不気味すぎる。
幸い、村人はその場からいなくなっていたので、その光景を見ることは無かった。
「誰かそこにいるんですの?!」
混乱するカレンに答えたのは、天使も妖精も見えてしまうアルティナである。なぜ見えるのかは本人にも謎だった。
「……いるだろ、そこに黒い妖精っぽいヤツが」
「黒い妖精?!」
黒い妖精がいるらしいことにも驚いたが、それ以上にアルティナの口から“妖精”などというメルヘンな単語が出て来たことに衝撃を受けた。
というか、妖精って黒いのか……?
もうどこからツッコめば良いか分からない。
「く、黒い妖精って……何をする妖精ですの……」
「列車の運転士」
「はぁ?」
存在が空想的な割に、かなり現実的なお仕事をなさっているのね……。
そう呟くと、アルティナとリタが同時に吹き出した。
幸か不幸か、「ちょっとアンタら、あたしをバカにしてんの?!」という黒い妖精の喚き声はカレンには聞こえて無かった……。
(てゆーか黒い妖精とは何事よ、この無愛想戦士!!)03(終)
―――――
いつもいつも、サンディを妖精と表記してしまって良いものかと悩みます。
本人、妖精じゃないらしいこと言ってますし……。
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