第二章 07
リタは現在、武器屋にいた。
「……これだ!」
リタが手にしているのは、鈍い銀色の光を放つ金属の扇。
「あれ、それにすんの? てっきり剣でも買うのかと思ってたんですケド」
ひょっこりと顔を出したサンディは、武器の選択が意外だったらしく目を瞬かせていた。ウォルロ村に落ちてからは、ずっと剣を装備していたため、剣を選ぶと思っていたのだろう。
「おじさん、これ下さい!」
会計を済ませて外に出る。
「さぁて……装備もバッチリみたいだし、後はアルティナとか言うヤツを追うわよリタ!」
サンディは腰に手を当て意気込んでいる。
「それに……あんまり時間かけると、あの人怒りそーだしさぁ」
先ほど、アルティナには先に行っててもらうよう頼んでいたのだ。
それは、武器の店や防具の店を見ていたら思い出したことがあったからで。リタは再び兵士に装備で見咎められるのを心配していた。
「うーん、そうだけど……ねぇサンディ、本当にこれで大丈夫?」
「だから、あたし的には全然オッケーなんだってば」
リタは旅人の服を着用し、ウロコの盾と先ほどの扇を装備していた。
「じゃあ、お城に行こっか。あの人も待ってるだろうし!」
城へ向かおうと歩き出した時、井戸端会議をしていたおばさん達の会話から気になることが聞こえてきた。
「……知ってます? あの武器屋の旦那さん、黒騎士に愛馬を持っていかれたんですって!」
あの武器屋、とは今し方リタが出て来たところの武器屋である。
「まぁ、そうだったの?」
「お気の毒ねぇ……」
その話を聞いて、リタは武器屋の建物を振り返った。
「おじさん、元気そうに見えたのに……」
笑顔で会計をしてくれたけれど。
「あぁ見えて、かなりこたえてるんだろーね」
「……そうだね」
武器屋のおじさんの為にも、黒騎士退治頑張らなければ。
決心を新たに、リタは改めて城下町の奥にそびえ立つセントシュタイン城へと向かった。
そして、城に着いたリタはアルティナと兵士の間に繰り広げられていたいざこざに巻き込まれることとなる。
(な、何事っ?!)07(終)
―――――
アルティナが早速、何かをしでかたようです←
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