天恵物語
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第二章 06

「じゃ、黒騎士だかなんだか分からないけど、頑張って退治してきてね〜」


「ルイーダさん?!」


手を振って送り出そうとしているルイーダ。リタもアルティナと呼ばれた青年も、さすがに待ったをかけた。


「おい! また勝手に決めんな!!」


(え、“また”って?!)


以前にもこんなことがあったらしい……。


「いいじゃないの。どうせ引き合わせても、ちょっとした乱闘起こして終わるんだから」


引き合わせから乱闘に発展するとは一体何があったのだろうか。


(わたし、この人と上手くやっていけるのかな……)


不安感が拭えない。


「文句言わないの! リタを見なさい、一言も不満を言わないじゃない!」


(いや、雰囲気的に何も言えなかっただけなんですけど……!!)


しかも、そんなことを言える雰囲気でもない。


「とにかく、お城の王様に話を聞きに行ってみたらどうかしら?」


話を進めるルイーダに、アルティナは折れたらしく、


「分かったよ、ったく……」


舌打ちしそうな勢いで了承した。


「おい、行くぞチビ。さっさと来ないと置いてくからな」


そして、何も言うことが出来ず傍観していたリタにサラッと暴言を吐くと、宿を出て行ってしまった。


「ルイーダさん……なんですか、あの人?!」


アルティナの出て行った扉を指差し、ルイーダに食ってかかる。


「自己中にも程がありますよ……!!」


突っ込むところ違う、と誰もが思った瞬間。
混乱をきたしたためにチビ発言は聞き流していたリタだった。
また、ルイーダも聞き流すことにしたらしい。


「そうなのよね〜。アルティナったら、いっつもあの調子だから大概の人と揉めて終わっちゃうのよ」


性格に難あり、と判を押されているアルティナであった。


「リタ、今回だけでも付き合ってやってくれないかしら?」


「う〜ん」


ルイーダの頼みに、仕方なく首を縦に振るリタであった。















(今回、だけなら……)
06(終)




―――――
アルティナ……第一印象最悪だよ、おバカ……!


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