第二章 05-2
「あ、リタ! さっそく来てくれたんだ!」
宿の中へ入ると、荷物を抱えたリッカが出迎えてくれた。どうやら先ほどの揉め事は解決したらしい。
「準備の方は進んでるみたいだね、リッカ」
「うん、あとそこの荷物を片付ければ終わりよ」
リッカの示した方向には、あと少しだけ荷物が残っていた。
「……はい、これで終わり。お待たせ、もうすっかり準備完了よ! 宿屋に泊まりたい時は私に話しかけてくれればいいからね」
「うん! あ、じゃあ今日早速泊まって行こうかな」
その時、ちょうどルイーダが扉を開けて宿の中へと入ってきた。
「あら、来てくれたのねリタ」
「ルイーダさん!」
もう少しで入れ違いになるところだった。
「あ、そういえば遺跡で助けてもらったときのお礼がまだだったわ」
リタの顔を見て思い出したらしい。リタもリタで、「あぁ、そういえば……」とお礼のことなどすっかり忘れていた。
「ウフフッ……いいわ。私の仕事ぶり、見せてあげる」
ルイーダは不敵に笑うとカウンターへ向かい、リタもこちらへ来るように促した。
「さて、と……ここはルイーダの酒場。旅人達が仲間を求めて集まる出会いと別れの酒場よ」
「出会いと別れの酒場……?」
初めて聞くことに、リタの頭の中はクエスチョンマークで埋め尽くされていた。
「簡単に言うと、旅の仲間を紹介するところよ。さぁ、何かお望みかしら?」
「仲間……」
確かに仲間がいると都合が良さそうだ。現に、ついさっきの兵士とのやり取りの時にサンディが少女の一人旅はおかしいと言っていた。
ならば。
「あの、王様に黒騎士退治の詳しい話を聞くためにお城に行こうとした時、兵士が納得して城の中に通してくれそうな人っていませんか?!」
「え?」
あまりにも具体的すぎる内容に、一瞬目が点になったルイーダだった。
「あー、だったら男の方が良いかしらね。それなら……」
ルイーダは手元の名簿らしきものに目を通した。そして、ある一点に視線が止まる。
「……そうね。この子だったら……」
「ルイーダさん?」
キョトンとしながらも尋ねると、何か企んでいるような含み笑いを浮かべた。
「実は、その黒騎士……だったかしら? そいつを倒しに行こうとしてたヤツがいたの、思い出したのよね」
「本当ですか?!」
目的が一致しているなら申し分ない。
「えぇ。それなりに腕の立つ戦士なんだけれど……あら、丁度良いところに」
ガチャリと扉の開く音がして、中へ誰かが入って来た。
「リタ、こちら今日から新しく仲間になるアルティナよ。二人とも仲良くね〜」
「…………え?」
「…………は?」
突然宣告されたことに、二人が疑問の声を上げるのは同時のことであった。
(あれ、結構強制的?)05(終)
―――――
やっと一人目の仲間登場!
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