第一章 13
数日後……土砂崩れは取り除かれ、峠の道は開通した。
そして、リッカがセントシュタインへと旅立つ日――。
「離れ離れになっちゃうけど……元気でね、おじいちゃん!」
「都会暮らしは慣れんだろうが、くれぐれも身体を壊さぬようにな。ルイーダさん、よろしく頼みますぞ」
「はい、お任せ下さい」
ルイーダが頷き、リッカは祖父に笑顔を向けた後、リタを振り返った。
「リタ、あなたにはすっごくお世話になっちゃった。本当にありがとう。お父さんのトロフィーを見つけてきちゃうなんて、不思議な人ね。もしかしてリタ、本当は天使様だったりして」
「へっ?!」
「……な〜んてね! もし途中でセントシュタインに寄ることがあったら絶対宿屋にも寄っていってね!」
実は天使というのは真実なのだが……。冗談だったことに安心しながらリタはそれらに笑顔で応じた。
「あ、ありがとうリッカ。その時は喜んで寄らせてもらう!」
そして、リッカは少し距離を置くニードにも声をかけた。
「この村の宿、ニードが継いでくれるんでしょ? 勝手な話だけど、わたしあの宿を閉じたくなかったから……ありがとう!」
「親父が働けってうるさいからな。俺がやるからには、セントシュタインよりビッグな宿にしてやるよ!」
何だかんだ言いながら、ニードも結局はリッカを送り出してくれた。
「それじゃ行ってきます! 皆、今までありがとう!!」
そしてリッカ達は、旅立っていった。
(もう会えないだろうけど……わたしはずっと応援してるよ)12(終)
第一章完結
―――――
一章終わりました……!!
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