天恵物語
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第一章 11-2

「いったぁ〜い」


ピンク色の光の正体は……妖精のような羽を持つ、どうみてもギャルみたいな格好をしたモノだった。


「ちょっとぉ、ボケッとしてないで上手くかわしなさいよぅ!」


無茶をおっしゃる。
驚いて咄嗟に声が出ないリタをじっと見つめ、そうしてからようやく妖精らしきモノは口を開いた。


「アンタと……あとオッサン、今天使とか言ってたよね? あたしもそう思ったケド……いまいち確信が持てないのよネ〜。アンタ、ワッカも翼も無いのよ?」


外見を裏切らない喋り方をする、それを見て呆気にとられながらもリタはとりあえず気になっていることを聞いてみた。


「えっと……妖精?」


妖精は普通、こんなギャルみたいな姿をしているだろうか?


「んー、妖精ってゆーかぁ……」


間を置いて、妖精らしきモノはリタ達の前で決めポーズを決めてみせた。


「聞いて驚けっ! あたしは謎の乙女サンディ、あの天の箱舟の運転士よっ!!」


ちなみに“乙女”と書いて“ギャル”と読むらしい……。


「ええぇ〜〜〜〜っ?!」


リタは素直に驚いた。


「天の箱舟って……あの天の箱舟?!」


「それ以外に何があるっていうのヨ……」


驚いた、この小さいギャルみたいな子――サンディが運転していたとは。


「サンディが謎なら、箱舟も謎……」


「ちょっとアンタ、失礼なこと言わないでくんない?!」


「あのー……」


自分で謎の乙女って言ったのに……と思っていると、すっかり場の空気に飲み込まれてしまっていたリベルトが遠慮がちに声をかけた。


「あ、ごめんなさいリベルトさん」


「てゆーかさ……どう見ても人間なのに天の箱舟や魂は見えるって、あんた一体何者?」


天使だと認めてくれないサンディに、リタは一生懸命訴えた。


「だから守護天使ですってば! 地震が起きた時、天使界から落ちちゃって気付いたら羽根もわっかも無くなってたんです……」



「ふーん、そうだったんだ。なーんか信じられないんですケド……そうだっ」


サンディは何か思い付いたらしく、リベルトを指差し、こう提案した。


「それなら、このオッサンを昇天させてみなさいよ。それが出来てこその天使っしょ! それが出来たら天の箱舟に乗せてあげてもいいわ」


「ホントに?!」


リタの目が輝くのを見て、サンディは「ホント、ホント」と上機嫌に頷いた。


「リベルトさんっ」


この時のリタの顔は、それはそれは輝いていたのだとか。















(これで、天使界に帰れるかもしれない……!)
11(終)




―――――
第一章も、そろそろ終盤です。


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