第一章 11-1
リタがウォルロ村に着いたのは、日の沈みかけた夕暮れ時だった。
「わ……すっかり暗くなっちゃった」
辺りはすっかり暗闇に包まれ、星が瞬き始めている。早く帰らなければ、リッカが心配してしまう。
まぁ……現在進行形で心配しているかもしれないが。
(でも、もしかしたらルイーダさんに会えたかもしれないし……)
そして、ルイーダが事情を話していることを願う。あまり心配はかけたくない。……いや、心配ならキサゴナ遺跡へ向かった時からされているか。申し訳ない気持ちになりながら、リタはウォルロ村の門をくぐり、一目散にリッカの家へと向かった。
すると、家の周りをさ迷う一人の幽霊を発見した。
「あれ……?」
困ったようにうろつく男性の幽霊。その様子から何かあったらしいことが伺える。
「どうかしたんですか?」
「うひゃうっ!!」
声をかけると、その男性は大袈裟なほどに肩を揺らして驚いた。そして後ろを振り返る。
「ビックリしたなぁ。驚かせないで下さいよ……ってあなた、私が見えるんですか!? 私はとっくに死んでるんですよ?!」
「はい! わたし、この村の守護天使ですから!」
言い切ってから、自分の格好を思い出した。
天使の象徴である羽と光輪が無い上、不思議な服を着ている。
自分は天使だと信じてもらえるのだろうか……。
「えっと……ちょっとした事情があって、今はこんな姿ですが……」
「守護天使様?! そうでしたか。どうりで私が見えるわけだ……」
どうやら納得してくれたらしい。普通の人間には幽霊が見えないからだろうか、あっさりと理解してくれた。
「そうだ、自己紹介がまだでしたな。私はリベルトと申します」」
「リベルト……?」
最近、どこかで聞いたことがある気がする。どこで聞いたのだったか……。
(……思い出したっ!)
ここに落ちてきたばかりの時、その名前を聞いたことがあった。
「リッカの……お父様?!」
「そこ、ちょっと待ったぁーーーー!!」直後、ピンク色の光がリタの後頭部に激突した。
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