第一章 04-1
そして、翌朝。
「ニードさん、ごめんなさい……一つ問題があるの忘れてました」
「は? どうしたんだよ一体」
「その……実は、」
リタは言いにくそうに口ごもった後、その問題を打ち明けた。
「その……出かけるならリッカの外出許可を得なければならなくて……」
「…………」
「…………」
さぁ困った、峠に行くどころか迂闊に外にも出られない……という状況である。
ケガもあり、リッカが遠出を許してくれそうにもない。村の中ならともかく、峠までとなるとなおさらである。
「えっと……どうしましょうニードさん」
「俺に聞くなよ! 自分で何とかしろ!!」
「えぇっ……そんなこと言われても」
何とかできそうにもないからこうして相談しているのだが。
「どうしよう、リッカが許してくれないと、峠に行くのも難しくなっちゃうし……」
「ぐっ……」
峠へ行けない、つまりそれはニードに協力することもできなくなるということである。ニードに土砂崩れを退かして親父に認められたいという目的がある以上、どうしても道中頼りになる仲間が一人は欲しい。
「仕方ねぇな、こうなったら強行突破するしかないか」
「強行?」
どういうことか首を傾げるリタに、ニードは「まぁこのニード様に任せとけ」と言うだけだ。何を任せておけというのかは分からないが、とりあえずはニードの言う通りにすることにしたリタであった。
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