間奏T 04-3
リタは世界樹に祈った。だが、羽根も光輪も戻らなかった。
これが、まだ人の姿である理由。
もしかして、一生このままなのだろうか。
「どうしよう……」
羽根も光輪も失し、星のオーラすら見えない。これでは守護天使の仕事など出来るはずがなかった。
どうすれば良いかも分からず、ひたすら世界樹に祈る。
しかし疲れていたせいか、やがて眠りについたリタは不思議な夢を見た。
――世界を滅ぼそうとする者とそれを止めようとする者が、言い争っている。
傍観することしか出来ない夢から目が覚めたとき、どこからともなく不思議な声が聞こえてきた。
「……守護天使リタよ……よくぞ戻ってきました。翼と光輪をなくしても尚、ここに戻って来られるとは、これもまた運命なのかもしれません。……守護天使リタよ、あなたに道を開きましょう……」
周りを見渡すが、声の主を見つけることは出来ない。
それでも見つけようと後ろを振り返ると、青々と茂る大木に目が行った。
もしかして、この声って……。
「私のチカラを宿せし青い木があなたを新たな旅へといざなうでしょう。そして……もう一つ。これまであなたが旅した地へと戻る呪文を授けましょう……」
同時に光が降ってきた。
眩しくて、とっさに目をつぶる。
「わわっ……」
「守護天使リタよ、再び地上へ戻りなさい。天の箱舟で人間界へ行き、散らばった女神の果実を集めるのです。そして人間達を……世界を、救ってください……」
切実な願いを告げる声は次第に小さくなり、そして消えた。
辺りは元の静けさを取り戻し、風の吹く音だけがしていた。
世界樹を呆然と見上げるが、もう声は聞こえてこなかった。
「世界を、救う……」
自分が?
天使の羽根も光輪も失くしてしまったと自分に、果たして世界など救うことが出来るのだろうか。
漠然とした不安を抱え、少女はまた人間界へ戻ってきた。
(まずは、女神の果実を探す旅へ)04(終)
―――――
回想入ると、ナゼだかページ数が多くなるという現象が。
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