さあら?
なんか、ちょっと風邪っぽいから今日は来んなよ。
俺も家で寝とくし。

そう一方的に電話をかけて、そのままぼーっとする頭につられるみたいに、意識を飛ばした。



「ん……」

寒気がして、目が覚めると、部屋の中は暗くて、相当時間が経っているのがわかった。
頭はズキズキと痛むし、喉も痛い。
体の芯が熱い感じなのに寒気がする。
思考が定まらない。
ああ、厄介な風邪ひいた。

起き上がろうとしたけど、ダルすぎて布団に逆戻り。喉乾いたのに、もう起き上がる気力もねぇ。

あー、さあらに会いたい。弱ってる時って人恋しくなるつーか。まぁ、なんだ。とにかくさあらに会いたい。

そんな事考えてたら。
突然ガチャリと扉があいた。

「あ、目、覚めた?」

会いたい会いたいと思ってたさあらがそこにいた。
なんで?来んなって言っただろ。

「公平のママさん今日用事あるからってお出かけしたよ。なので代わりに看病にきました」

にこにこ笑うさあらは、かわいい。
ってそうじゃなくて。

「なんで、来たんだよ」
「えー?」
「伝染ったらどーすんの」
「伝染ったら、公平が看病してくれるでしょ?」

そりゃするけど。当たり前だろ。

「はい、スポドリ。のめるー?」
「おー……」

そう言いながら、俺の身体を支えながら起こしてくれるさあらは天使かなんかなのか。
背中に置かれた手が優しくてあったかい。

「おかゆ、ちょっとでも食べれる?」
「食欲ねぇ」
「薬飲まなきゃだからちょっとでも食べて」
「やーだー」

元々、さあらと居て気を張るのなんて無理で、ここぞとばかりに甘やかしてれるさあらに、思いっきり甘えてやろうと決めた。
風邪のせいだし。しょーがねーだろ。

「食わして?」
「もーしょうがないなぁ」

口を開ければ、ふーふー付きでさあらがおかゆを運んでくれる。
あー、味わかんねぇのがつらい。

たまごがゆだよー、と笑うさあらは天使。異論は認めない。

「なぁ」
「んー?」
「エビフライ食べたい」
「治ったらね」

今食いてーのになぁでも今は絶対作ってくんねーよなぁ。
おかゆを全部食って薬を口に放り込まれて、水も飲まされて。

飲めたー?と目の前に来たさあらを力任せにぎゅうと抱き締める。
あーあったかい、やらかい。

「どしたの?公平」
「さみーからあっためて?」

重い頭をさあらの肩に埋めると、ふわりと慣れた匂いにすげー安心する。
なぁ、このまま抱き枕希望なんだけど。
そう言ったら、さあらはまた天使の笑顔でしょうがないなぁと言った。かわいい。

「風邪、人にうつすと治るって言うよね」
「伝染したくねーけど、さあらがしんどいのはやだわ」
「公平の風邪なら別にいいけど」
「そんなん言うのひきょー」

今ならすげーよく眠れそう……
腕の中のぬくもりを確かめながら、そのまま俺は夢の中。
頭を撫でてる感触が、とにかくしあわせだった。



いずみくんのかぜのなおしかた


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