私が、ボーダーに入ったのは本当にたまたまだったんだと思う。
北海道にいた私は、あの数年前の第一次侵攻の時、はっきり言ってテレビの中のはなしだった。
自分にはあんまり関係のない世界のはなしだって思ってた。

ニュースもあんまり見ない私は、その日も学校から帰ると今一番はまってるゲームを立ち上げた。

そんなゲームの中の会話機能、つまりチャットで、たまたまだった。

私、ボーダーに入ろうと思って。

という会話を見た。
その子はどうやらあの三門市からすぐ近くに住んでいるらしくて、同じくらいの中学生や高校生が戦っているのをみて、自分も。と思ったと文字を並べた。

ボーダーを意識したのはたぶんそれが、はじめて。



「柚宇さん、聞いてよ」
「どしたどしたー?いずみん」
「唯我がさぁ」

はぁ、と大きなため息を吐き出してゲームをしてる私の直ぐ側に来たのは、うちの太刀川隊の天才シューター。いずみん。
唯我っていうのは、最近うちに加入した、いずみん曰くのおにもつくん、だ。

「タコパやろうぜつったら、そんな低俗なもんってゆーのなんとかして」

ぶぅと膨れるいずみんはなんか子供みたい。
そしてそんな唯我くんはどうやら現在いずみんのぱしりで売店にいってるらしいー。

「タコパやりたいっ」
「お、さあら。やるきじゅうぶんだねぇ」

タコパに反応したのは、たこやき大好き楽しいこと大好き、なさあら。
うちの天才ガンナーちゃんにして、太刀川隊のマスコットガールなんだよー。

右にはいずみん、左にはさあら。
これはなかなか華やかだねー。ゲームにもやる気が出るってものよー。
二人してもたれてくるからちょっと重いけど、お姉さんだからゆるしちゃうー。



ボーダーに入らなかったら、どうなってたか。わからないけどそんなのは。
でもさ、こんなに楽しい思いは多分できなかったんじゃないかなー。

私国近は、今とても満足です。



「おー今日はまた三人仲良しだな」

聞き慣れた声がしたと思ったら後ろから三人まとめてぎゅうっと力強い手に抱きしめられた。誰の仕業か、なんてもちろんいうまでもない。

「慶さんおかえり」
「太刀川さんおかえり」

さあらといずみんの声に、頭の上ですごく嬉しそうにうちの隊長は笑い始めた。
ぽんっと頭におかれた手が暖かくて、優しくて、思わずゲームの手がちょっと滑ったけども。

これもハンデというやつだ。

「こっからノーダメクリアしたら今日は皆でたこぱー」

私がそう言って姿勢を正したら、両サイドの二人はきゃぁと嬉しそうに声をあげて。

「ゆうちゃん、がんばれぇ」

甘ったるいさあらの声に、私のやる気は十分。
よし、よし、お姉さんにまかせなさいっ!


これが、わたしとみんなの、お話だよー。



みんなのはなしをしよう


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