「さあら、模擬戦しようぜ」

結宇ちゃんとゲームをしてたら、後ろのソファーでじーっと私たちを見てた公平が突然口を開いた。
何をしたいのか、すでにわかってしまって、ギクリと肩を震わせる。

「えー……」

渋って見せると、後ろで立ち上がる音がして。すぐに私の首に、公平の腕が回される。
後ろから抱きしめられる感じ。

「やなの?」
「ゲームしてる……し?」
「あ、いいよー。唯我君と遊ぶし」

あ、結宇ちゃんに見捨てられた!
横目でちらりと結宇ちゃんをみるが、わざとらしく顔を反らされてしまった。ひどい!

「ほら、いこーぜ」
「はぁい」

手を引かれ、それに引っ張られるみたいに立ち上がると、公平の手は私の手首をしっかり掴んでて離してくれそうにもない。
どこに公平のスイッチがあるか、分からないんだけど。
たまーになにかの切欠でオンになる、こういう公平。

こうなったら、公平が満足するまで、私は諦めて着いていくしかないのです。



個人ランク戦の隅っこの方の並んだブースにそれぞれ入り、すぐに公平から勝負が申し込まれる。
ここで拒否なんてしようものなら、後が怖いので、大人しくオッケーの返事をした。

「さあら、愛してる」

転送されるとすぐに、公平からの通信。
耳元で囁かれるようでくすぐったい。

「どこいんの?」
「それを言うわけにはいかないよねぇ」

バッグワームを起動し、静かに動き出す。

「まぁ出てこねーなら、全部更地にするだけ、だけどな」

そう公平がいうとすぐに、結構近いところで爆発音が炸裂した。
ノリノリだなぁ。楽しそう。

ある程度の位置がわかれば、このまま奇襲といこう。
スピード勝負だ。



なんて!思った!私が!ばかでした!!

グラスホッパーで公平に迫り、拳銃を弾いたのはよかった。
けど、まさかそれをフルガードされた挙句に、置き弾バイパーで蜂の巣にされるとは…

「もううごけねーなぁ」
「うう、さあらの両手がー」
「はは、右足ももらっとくな」
「ひどくないですか」

楽しそうに笑って、その手にアステロイドを浮かべる公平は、ドS以外なにものでもない!それか鬼畜野郎です!
両手両足で唯一残っていた右足も吹っ飛ばされて、体からどんどんトリオンが空に消えていく。けど、困ったことに私のトリオン量はそこそこ多いのでこの状態でも結構持つ。

両手両足失って動けない私の体の上にまたがった公平は、本当に嬉しそう。

「銃手はこうなるとなんもできねーのがなぁ」
「そうなんだよねぇ……」
「すげーこの状態そそるわ」
「えー……」

降りてきた公平の顔。避ける理由もないのでそのままにしてたら、唇をゆっくり舐め回され、最後の抵抗に唇を開けずにいたら、ほら口開けろ、舌出せ。と命令まで降ってきた。

そのまましばらく息もまともにできないくらい長い長い時間ねちっこくしつこい濃いめのちゅーをされて……

「さあら、愛してる」

勝負の始まりと同じ言葉を今度は通信機越しではなく、本当に耳元で囁かれて、その直後に公平の手から、星が大量に私に降り注いだ。



ブースから出ると、すごく満足した顔の公平が待っていて、今度は手首ではなくて、指と指を絡めた所謂恋人つなぎってやつで手を繋いであるき始める。

「たのしかったー?」
「すげー満足した」
「鬼畜変態こーへー」
「うるせぇ、ジュースおごってやんねーぞ」
「や。みかんジュース買って」
「はいはい」

散々遊ばれて、公平を満足させたんだから、ジュースくらい買って貰わなきゃやってらんない。

「さあら、愛してる」
「知ってるよー」
「さあらは?」
「知ってるでしょ」
「知ってた」
「うん」

愛してるにきまってる、あんなことされて許すの私くらいなんだから。
たまーに入る、公平のスイッチは厄介だけど、でも私にしかしないから。
だから、しょうがないので、受け入れるのです。

「だいすきだよ、公平」



ふりそそぐあいのほし


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