ボーダーという組織をご存知だろうか。
いや、知らないはずがない。
過去のことはともかく、今この国ではその名を知らないのは、小さな子供か、それとも世捨人か、記憶を失ったごく一部の人々か。

今ではこの国で暮らす上で、その組織の技術無くしては生きられない。
建築、物流、小売業、ありとあらゆる部門で、そのボーダーがもつトリオン技術が至る所に使われている。

だがしかし、その技術の根幹はあまり国民には知られていない。
組織の持つ膨大な知識も、技術も、その組織内部で許可が降りたもののみが、外部に発表されていくが、それは組織の持つ機密のほんの一欠片でしかない。

ボーダーの機密は、常に強固なセキュリティにより守られている。
そして、その組織の機密を守るための部隊がある。
それが……特務執行部。通称Eraserと呼ばれている部隊だった。



―― 特務執行部 ――

その部隊は、ボーダー内部でも、部隊の通称を知るものは多いが、その詳細を知るものは多くない。
ボーダーの精鋭中の精鋭のみが所属しているのは間違いないが、所属員以外は誰が特務執行部に所属しているのかすらも知らない。
普段、普通に他のボーダー職員と同じように業務に付きながら、実は特務執行部に所属し、裏で執行部の業務についている隊員が、実はそれなりの数存在している。
全ては、ボーダーの機密中の機密。

そんな部隊の任務は、非情に多岐に渡る。そしてその任務の多くは、決して外部には漏らすことがない。後ろ暗い任務ばかりだった。
例えば、ボーダー内部に入り込むスパイの粛清。秘密を漏らした者の始末。はたまたボーダーを裏切った者の処分。そういう類の任務。

一度、所属してしまえば、抜けることもままならない。
その部隊に、この度、新人が増えることになった。

これは、その新人を取り巻く世界の話。

01


/ 表紙 /




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -