03 愛せないから触れないで

目が覚めると知らない天井。
ここはホテル?

お風呂に入らず寝てしまったため
ベットから起き上がり
シャワーを浴びようと服を脱ぎ捨てる。

まだ寝ぼけた頭で寝室のドアを開け
バスルームを下着のまま探す。


トン、


足元の何かにぶつかり前にそのまま倒れる。
どうやら机の角に足をぶつけたらしい。・・・痛い。
指は痛かったけれど体は痛くなかった。



「ん?あれえ?」

「ふう、ちょっと、愁、なにやって。・・・?!」

「バーボンさん?なんでここに」

「何でって、こっちのせりふです、なんて格好してるんですか」

「は?」



自分の格好をみて部屋を見渡し、バーボンを見てすべてを思い出す。
そうだ、ここはバーボンの家だった。

私は急いでクッションで胸を隠す。



「さ、さすがポーカーフェイスが上手です!
レディの下着姿をみて動揺しないとは!」

「何を偉そうにしているんですか。それに」


バーボンが、私の足をみてフッと笑う


「そのクッションじゃ、隠しきれていませんけどね?」

「〜〜〜っ!さいてーーーー!!」

「わあっ!」




私は持っていたクッションをバーボンに投げつけ、
すぐさまバスルームへ向かった。




「・・・危ない人だ」



そう彼がつぶやいたのは、聞こえなかったけれど。











「お風呂いただきましたー」

「おかえり、朝ごはんを用意したのでよければどうぞ」

「・・・これは」




用意されていたのは味噌汁にご飯に鮭に漬物に・・・
THE和食!という感じの食卓だった。
意外な献立に、おもわず笑ってしまう。



「何を笑っているんですか?」

「だ、だって・・・クスクス。バーボンが、あのバーボンが、クスクス。
和食?!あはははは!」

「ム・・・僕だって日本人ですからね、和食も食べますよ。」

「はは、ごめんなさい!でも!クスクス、にあわなくて!」

「愁、食べないなら片付けますよ!」

「わー!ごめんなさい!いただきますいただきます!」



笑ってしまいそうなのを絶えながら、
椅子に座ってご飯をいただく。


「そういえば、私、人にご飯作ってもらうの本当に何年ぶりだろう。」

「普段は何を食べているんですか?」

「こんびにべんとうとか?」

「ほんと、君は健康に悪そうな生活しそうですよね。」

「バーボンさんに言われたくないですけど」

「おや?僕はしっかり毎食作っていますよ」

「んむう、」




「っぷ、あははは」



バーボンさんがっぷと噴出す。
あ、彼ってこんな笑い方できるんだ?



「バーボンさん。」

「はい?」


なんだかうれしくなって
私も肩をすくめて笑顔で語りかける



「バーボンさんのその笑顔、私は好きですよ」



そういうと、バーボンは目を見開き少し頬を赤らめると
咳払いをしてすぐに表情を戻した。



「そういうことは、適当に言うものじゃありませんよ」

「ええ?」


なぜか今度は不機嫌になりながら食べ終わった食器を片付けにいってしまった。



「適当では、ないんだけどな。」



なんて、何いっているんだろう私は。
彼はターゲットなのに。







- - - - - - -


今日も昨日のとおりポアロで仕事をしていると、
組織で使っているケイタイにメールが入った。
ベルモットからだ。
至急、指定の場所へこいとのこと。


カウンターを掃除しているバーボン、もとい
安室さんにこっそり話しかける。

「すいません安室さん、先ほどベルモットから連絡があって
仕事を別件で頼まれましてこれからそちらに向かいますね」

「教育を頼んでいながら何を、、。わかりました。僕は僕で別の仕事を進めます。」

「すいません。」




ベルモットから連絡があった。
まず調査の進展を教えてほしいとのこと。

正直、バーボンにはスキがない。
それにまだノックだとはわかっていない状態で疑っているのだから
短期間で知るには厳しい案件だろう。

だから暇な私が抜擢されたんだろうけれど。




ポアロをでて小道を進む。

ベルモットに指定されたカフェに着くと、
すでに彼女はコーヒーをのんでくつろいでいた。



「おまたせしました。」

「あとはつけられていないでしょうね」

「多分」

「多分って、あなた・・・。まあいいわ。
進展を教えてほしいのだけど、どうせあまり
わかっていないんでしょう?」

「・・・う、すいません」

「別に、あなたの他にも別のノック容疑のあるメンバーに
あなたのような人たちをつけているし、
バーボンがノックと決まったわけではないわけだしね。」

「安室さんになりきると、彼、けっこう笑うんですよね。楽しそうです。
ハムサンドもおいしかったし!」

「ちょっと、まさかあなた・・・」



サングラスの向こうでベルモットの瞳が光ったかと思うと
ズイと顔を近づけてきて、からかうように笑った。



「愁ったらバーボンに惚れているんじゃないでしょうね?」

「な、そんなことあるはずないじゃないですか!」

「そうかしら?そんなに取り乱して、怪しいわね」

「違いますったら違います!まだあったばかりなんですよ!第一、ターゲットになんて・・・」




そう、ターゲットに恋をするなんて、あってはならないのだ。




「ウフフ、冗談よ。でも本当に愛してしまったら取り返しのつかないことになるわよ。
くれぐれも、気をつけて。」

「だから、そんなの、」




ありえないです。


そうとはなぜだかいえなかった。
私は彼を愛してはいけないのだ





- - - - - - - -



バーボンがノックと決まったわけではないわけだしね

ベルモットが僕を通じずに愁に直接依頼をするとは、、
怪しいと思い、盗聴器をバッグに仕掛け、
後を追ってみると、どうやら僕がノックだと感づかれているようだった。


だがはっきりとはわかってはいない
まだ容疑の段階なのだ。

その調査に愁が任務についている、というわけか。


うすうす怪しいとは思ってはいたけれど
なぜかのどの奥がチクチクと痛んだ。

心のどこかでは、彼女のことを信じたい
そう思ってしまっている自分がいた。
だが、俺は彼女を愛してはいけないのだ




「ゼロが情けないな、」


俺は盗聴を中断し、風見に電話をかけた。


「風見か、降谷だ。至急調べてもらいたいことがある。」


















mae tugi

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