5.そこへ行くことができたら

5.そこへ行くことができたら

間に挟まれてダーク化もとい影にいる俺だけれども、それよりやばそうでやばくない弟と、太陽さんさんしすぎて真っ白すぎて焼け切ってダークなのかいまいちわからない弟と、俺をことごとく使おうとしてるダークな弟。いや、もう俺ダークの定義を改めるべきなのかもしれない。いいや、ダークをすべて屑に置き換えよう。間に挟まれて気力をなくした屑と、斜め上トルネードで消えていく屑と、ことごとく俺を使おうとする屑の弟がいる。前に兄は紹介したが、弟も弟で屑だ。あ、いい感じ。

そんな屑たちに挟まれた中間の俺、四男あか松は、今居間で忌々しく弟を見てる。庭には二羽鶏。みたいな事なってるけれど、そう。目の前に毛玉の動物がひとつとテーブルが俺と一つ下の弟がそこにいる。
「あか松兄さん、いたの?」なんて一松がいうけれど、俺ここ数年家から出たのってベランダぐらいなんだけれど。俺、お前たち以上に家から出てないの知ってるよな?しってるよな??って畳み掛けてしまいそうになりながら踏みとどまる。そうだよ、目の前に毛玉の悪魔がいるんだよ。

「猫?」
「猫。」

ちなみに俺は動物はめっちゃ好きなのに、現物を目の前で見ることが大の苦手である。動いて俺を食うかもしれないじゃん。牙立ててくるかもしれないじゃん。むり。こわい。やばい、つらい。

「兄さんも触る?」
「いや、遠慮します。俺、そこにはいかないし行けないし、無理。やだ。」
「かわいいのに、ねぇ。被害のなさそうなそのあたりで見ておけばいいじゃん。」
「べつにー、動画そこそこ持ってるし。」

猫科だよ?ライオンも豹もピューマもジャガーも猫科だよ?あんなのとおんなじカテゴライズされてんなら似たような肉食ジャン。下手したら俺食われるじゃん。無理だってば!って叫べば、こんな小さな猫の中に兄さんはいると思ってんの?いや、お前この間の十四松の面接のコント出てただろ、いきなりああなってるかもしれないじゃん!!やだよ、怖いじゃん!いきなりでかくなるの!!!ついでにヘビは飲み込んだときでかくなるじゃん。そういう理論じゃん。
いや、あれ編集だし。十四松があんだけでかくなるわけないじゃん。なってたじゃん!編集だってほら、兄さん触る?
触んねえっていってんだろ。寄せんな!カラ松にちくんぞ!

「ねーお前も兄さんに触ってほしいだろ?」
「…やめろ、一松。寄んな猫。」

一松の手から降りて猫は俺の方にすり寄るように歩く。畳の上を爪が滑ってちょっと小気味よい音をしてるが気持ち悪さのほうが勝ってきた。やめろ、ホントにやめろ。やめてくれ!!俺は叫ぶと同時に意識を飛ばし、後々になって俺以外の兄弟会議であいつに動物や虫を寄せ付けんな法が制定されたとかされてないとか。いいからなんでもいいからほっといてくれ!




(5/47)
|
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -