2.あなたが気づくことはないね

2.あなたが気づくことはないね

ぼんやりと株を見ていると一番上の兄が帰ってきた。めんどくせ、と思いながら今日買っておこうと思った物も全部買ったあとだったのと、兄の戯れに巻き込まれるのが嫌なので、パソコンをおとして片付けて、畳に寝転がる。だれもいないのー?とかやってるので、まだ俺を思い出してないだろう。そのまま気づかないでいてくれるといいんだが、そうはいかないだろう。俺はため息をついて、今日届いたばかりの雑誌を開く。コスパのいい雑貨などのまとめられた本をぺらりとめくりながら、あいつなんて興味ありませんスタイルを出して、向こうが飽きてくれるまで待つ。それしかないのだ。
何をかくそう実は、あの兄が一番苦手だったりする。幼い頃からぐいぐい前に出していこうとして、最終的に俺に全部擦り付けるのだから。おれは、あの兄に一番容赦なく攻撃を仕掛けて、いつも一個上の兄に起こられたり、同じように加勢してもらっている。上から三番目の兄はちょろいのだ。…話がそれた、が、あいつがいちばんとっつきにくいのだ。どっから手が出てくるかもわからない。ほんと、右から殴ってくるかと思えば左手で頭を撫でられてるような、俺もよく解んないけれど予想外しかしない奇跡の馬鹿だから、俺はあいつを嫌いだ。五番目一松が二番目カラ松をきらっているように。だ。

「あか松ー!いるんだろ?」
「いませーん。」
「いるじゃんかよー!あか松ー」
「んーなに?カラ松兄さん。」

俺おそ松!お前ももう二十うん年兄弟やってるんだからさ、いい加減覚えてよ。なぁー!んぁー!一番上の兄ちゃんだぞーって絡んでくるので、そっと身をよじりながらよけつつ、雑誌をぺらり、これいいなーなんて思っているネットのゲームを見ながら、どれぐらい課金するか想定していると、視界から雑誌が消えて一番上の兄のかお。

「…なにートド松。あー雑誌?お前読むっていってたっけ?」
「おーそーまーつーだって言ってんじゃん、ねーあか松。」
「あーチビ太?」

もはや兄弟でもない奴と間違えるなんて、せめて間違えるなら同じ顔と間違えてくれ。と青ざめた顔で兄は後ろに下がる。うん、離れたもう一声かな。と思いつつ、俺はそっぽを向く。空は青いなー。まーいいんだけれど。

「あか松、これ以上やったら兄ちゃん泣いちゃうぞ」
「泣けばいいと思うよナルシスト野郎」

そう突っぱねてやると、一番上の兄は泣きそうな顔して部屋を出ていった。ゆっくり俺も寝れる。ぐぅ。こうやってのらりくらりと交わす俺に、あいつは俺の真意なんて気づくことはないだろう。なんて思う。あれとおれでは、思考が違いすぎる。ねじれの位置。そう。それがいい。ベスト。
あいつは光で俺は闇だからね。バランスバランス。いいんだよ、一個ぐらい芽吹いてないやつがいてもさ。選別選別。




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