ジョ長 | ナノ



この部屋を自由に使ってくれてかまわないよ。といってくれる。本当に使っていいんだ。と思いつつ、着替えとか必要なものを買いに行かなきゃなぁ。とも計算し始める。どれぐらい費用がかかっちゃうんだろうな。安く収まればいいんだけれど。

「トイレと風呂場、上の階だから、あと階段急だから気をつけてね。」
「なんだか、変な感じ。」
「何が?ペスカ」

イルーゾォは階段を上りきって振り返るようにこっちを見てる。不思議な顔をしているから、その理由を口にした。

「暗殺専門のチームの雰囲気じゃないでしょうこの・・・なんか、雰囲気とか、空気とか、」
「オフのときはみんなそうだよ。ずっとスイッチはいっててもしんどいじゃん」
「なんか違うの、そういう言葉がなんていえばいいのか、わからないけれど。あーなんだっけ・・・イタリア語苦手なのよね」

きれいに発音できてると思うけれど。と言ってくれるのはうれしいけれど、「生活する分の簡単な会話はおばあちゃんから教え込まれてるから大丈夫だけれど、報告書とかって、いるわよねぇ。」と切なそうにつぶやいたら、僕も手伝うからさ、と肩を叩いて慰めてくれた。多分慰めてくれてるはず。多分文法は間違ってない。イタリア語は男性詞だのややこしいから、難しい。あぁ、日本語恋しい!

「あ、俺の部屋一番上の階段の右側だから、暇してたら来なよ報告書とかの書き方ぐらいならいくらでも教えるし。」
「グラッチュエ。」
「grazieな」
「・・・もう・・・グラッツェ。」


言葉の勉強もしなおそう。ちょっぴりそう決めて楽に逃げれる方法はあるけれど今それは難しいかもしれない。ペスカは頷きながら、イルーゾォになだめられながら、風呂場とトイレを教えてももらうと、下から声がかかる。飯だぞー、と。ご飯だってさ。聞いたこと無い声が聞こえて、イルーゾォに手を引かれ歩き出す。イタリアは男が軽いとか聞いてたけれど、本当にこうも軽いとは。なんて愚痴りそうになったが、職場であり仮の拠点になるのだ、おちつこう。そう落ち着こう。愚痴ったってプラスにはなりやしないのは長年の経験が知っているのだ。甘んじて受けるが吉。それ以外は・・・まぁ、知らないけれどね。



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