日陰のベンチで涼んでいた。二人目撃破と全体に連絡するメールを見ていたら、視界に影が出来て顔をあげてみたらイルーゾォがそこにいた。となり、いい?と聞きながら、座り込むので構わず日陰で涼む。隣を気にしながら。彼はこの世界の主だからこそ気をつけなければ一瞬で世界を追い出されるかもしれない。 「二人。だったけ?」 「うん、そう。」 「どうだった。」 やっぱり敵にまわしたくないな。あんたたち全員が家族だもん。まだ入ったばっかの私が言うのもなんか違うけど。生きてる限り仲間、友達、悪友として付き合って生きたいわ。 これが本音だ。隠してる内容以外はだいたい思ってることだ。 「ね、ペスカ。」 「なによ、イルーゾォ。真面目な顔しちゃって」 「二人で暗殺者、辞めてさ。海外に逃げようぜ」 ほら、うちのチーム。あんまり儲かんないしさ。よそのギャングとかさ。俺、ペスカとならうまくいいコンビになれると思うんだよね。 困ったように笑うイルーゾォが、やっぱりバカな話だよね。と無かったことのように話を変えようとしたから、馬鹿ね。とペスカが吐き捨てた。 「逃げるの?仲間に背を向けて。」 オトコノコなら、組織の頭に成り代わってやる。ぐらいの勢いのワンパク具合で行きなさいよ。いい相棒のスタンドが居るんだから。戦って死になさいよ、 「今ここで逃げる。なんて言ったら。私が切り刻んであげるわ。」 にっこり笑って言い切ってやれば、イルーゾォはおびえた風に遠慮しておくよ。と返してペスカは胸を撫で下ろした。 「ペスカ。これからもよろしくね」 「へ?」 「なんかペスカと戦う気にならないや。マン・イン・ザ・ミラーも知られてるし。戦う必要もないし。俺のノルマは達成かな。」 「ん、ノルマ?…あぁ。そう。」 残りも頑張ってね。と手をのばされかけて、さっと距離を開ける。彼の手に鏡。イルーゾォと鏡を交互に見て、没収。とペスカはポケットに入れた。イルーゾォは満足げにわらって、もうしないよ。と手をひらひらさせた。鏡を持ってた手をひらひらさせた。 「私、いくわね」 「うん。」 じゃあね。と手を振りペスカは逃げる様に、姿を消したのを確認してイルーゾォは携帯で連絡を取った。 「リゾット?」 うん。今ペスカと会った。やっぱり怒って「逃げるなら私が殺したげる」だってさ。…ねぇ、本当に引き入れるつもり?入ったばっかで、ペスカを…いや、そういうことじゃないのは解るけど…ペスカの能力があれば、百人力なのは解るよ。すごく。隙を見せないペスカが僕は恐くなる時があるんだ。入ったばっかの新人が、超強力なスタンド使いでタイミングが良すぎる気がするんだ。 ぽつりぽつりと電話で交信をとり、イルーゾォはペスカの行った先を見ながら、呟く。多分次はギアッチョと会ってるみたいだよ。 かなり先なのにギアッチョの声が聞こえるよ。本当毎回暗殺者が、あれだけ成功してるのが不思議で仕方ないよ。クスクスひとしきり笑って切るね。と言ってイルーゾォは電話を切った。 「にしても。ペスカは仲間になってくれるのかな。」 ペスカとのやりとりは、全て芝居だが、彼女の本心は、芝居じゃなくて本物なんだろうか。不安を覚えるイルーゾォは、仕方ないね。答えは、ペスカが話してくれるよきっと。自分自身に答えを出そうとするイルーゾォは、やれやれと肩をすくめアジトに向かって歩く。玄関を開けなきゃ、彼以外が入れなくなるので、これだけは彼だけに与えられた仕事だ。 前 戻 次 ×
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