ジョ長 | ナノ


針の男からする血の臭いを捉えて歩き出せば、すぐに痛み勢いが腕に走り世界が一転した。

「捕まえたよ、僕の夜闇ちゃん。」

腕に張りが貫通して身動きが取れない。念には念を入れてか、男に馬乗りになる。今までの犯人の経歴と、スタンド能力を考えれば、腹は恐らく、今は亡き男が切り裂いて、眼前にいる男が縫う役割を持っていたから、臓物だけ出たんじゃないかな。なんて他人ごとのように考えていた。

「それで狩ってるつもりかしら。」

片腕が動かなくても、まだ戦えるわよ。徹底的に牙は抜かなきゃねぇ。にっこり笑って、空いた手に一つのスタンドを呼び出す。

「エンヤ婆。ジャスティス。」

クリームから、姿を変えて霧を吐き出す。ぶわりと風に乗り勢いよく散って溶け出してなくなる。男は一瞬ギョッとした表情を浮かべたが、自分になにもないと解れば安心してもう一針空いてた腕に、ずぶりと刺され、両腕が拘束された。奴が手早いか、向こうが早いかわからないが、さしたる距離もない。もうすこし、もうすこしで来る。
石畳をカチャカチャ鳴らして、そう、もうすぐで先程亡くなった毛皮の男がやって来る。片腕を無くし三足でかけて針の男に全速力で私も巻き込んで体当たりをかます。地に縫いつけられた針も折れ、両腕から血が流れているが、きにする暇はない。すぐにミスタのスタンドがミスタと連絡をとり、すぐにやって来るだろう。蹴りはすぐにつけなければ。

「なんだよ、おい。目的はアイツだろうがあぁっ。」

鋭い爪が男の喉を割いた。終わりだ。能力すらも解除して、有り様を眺める。諾々と流れる命の証もすこしだけ手を着けようと、亡骸に手を触れる。やはり暗殺者に任せておけばいいのに。と心の底から私は思うのである。チームなら単独で仕事が出来て思いっきり血を吸えるのに。と面倒だと言わんばかりにため息を付けば、足音が2つ。ブチャラティとミスタであった。

「ペスカ。無事か?」
「まぁね」

命には別状ないわ。すっと立ち上がり、腕に空いた穴を見る。僅かに空いてるがこれぐらいならもう問題ないだろう。

「傷が」
「平気よ。」

この間これより酷い怪我は受けたけど、案外ピンピンしてるものよ。とわらって、腕の傷に触れられそうだったので、そっとずらした。相手の傷口に私の血が入らなければ吸血鬼の血も入る可能性もない。

「有難う、ペスカ。すまなかったな。報告書が書けたら、俺に渡してくれ。一緒に幹部に提出したら派遣も終わりだ」
「…えぇ。解ったわ。なんだか、あっさり過ぎて、手応え無いわね」

まさかこう早く終わるなんてな。まぁ、早く方がついてよかった。ミスタ、ペスカ帰るぞ。

こうして派遣は終わりを迎えた。所要時間凡そ2日間。うちのチームの肌色率の高さの再認識はした。うん、した。それから、…やっぱり、うちのチームのがやはり。なんてグダグダ考えちゃうこの任務を受けて、纏まったお金が手に入ったので、携帯をとりあえず買いに行かなければ。なにかと不便だし、承くんにも連絡を入れなければ。そろそろやばい。アジトに乗り込まれてもねぇ。ハエ一匹から、DIOの屋敷を特定する彼だ、見つけれる可能性は高い。怖い。
まぁ、ここのチームから離れる際に必死に口説くように勧誘された。いやぁ、普通の…吸血鬼じゃない意味でね。普通の女の子ならうん。とかって言いそうだけど。やはり、暗殺チームに美男が多いからか慣れてしまった気がする。
耐性出来てきたのかもしれないなぁ。あぁやだやだ。レベルの高いイタリアは楽しくて仕方ないんだけどね。



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