すべての書類にオッケーが出た頃には、ちょっと日が傾き始めていた。リゾットに提出して、ふう。と息つく。イルーゾォがお疲れ。なんて労いの声をかけてくれた。また、何かにつけて見られている気配に、むずがゆい何かを感じた。 「どうかしたか?」 「なんか、見られたような…」 「こんなにスタンド使いがいるアジトだぜ。んなモノズキ居ないだろうに。」 ちらりと視線を連絡用ボードに目をやれば、今日の料理当番にプロシュートの名前が入っていた。今日はまだ安心してご飯を食べれそうだと思いながら、ぼんやり考える。 考えなきゃいけない事がありすぎて何を考えていいのかさえわからないが。考えなきゃなぁ。肘掛けを枕にして横になれば、リゾットがはしたないからやめろ。と言われ、しぶしぶ普通に座り、ぼんやり手元を見つめる。今晩のご飯にピッツァが食べたいなぁ。とぼんやり考えたり…違う考えるのはこれじゃない。 のどの渇きも早くなってるし、傷の治りも早くなってきている。だんだん化け物になっていく気味が悪くなってきた。 「……調べなきゃ……リゾット、メローネって、今部屋?」 「メローネなら、昨日から任務だが。」 「そっか。」「用事があるなら言っておくが」 野暮用だから気にしないで。ちょっと買い物行ってくるわ。何か居るもの有ったかしら?と聞けば、ならば。と、買い物を指定されてオッケー。と言わんばかりに背を向けたまま片手を上げて扉の向こうに身を滑らした。 優先的に調べなきゃいけないことは一つ。 「ペースト、音石明」 電気になった私はコンセントに飛び込んで、SPW財団の配下にある病院に向かう。財団職員証は承君にもっとけと言われたのできれっ端を持ってはいる。すぐに治せるからね。チームのに見つからないためにも、必要な手段だ。 財団に電気を通して、駆け込んですぐさま検査にあれこれ受けて、右に左に連れまわされ、このバタバタはどこも同じなのかと、判断した。 通された先で採血をして、成分調査を依頼する。前回データはアメリカにあるので直ぐに送って貰う連絡はすぐにとれた。一週間後にまた来てください。と言われて、血液パックを一つ貰えたので遠慮なく飲む。 ぐいっと飲み干して、息つく。 なんか、満たされる感覚は喉の渇きも全てを癒すような気がする。 この太陽の世界に私は何時までいれるのか。 「私には解らないわね。」ボロボロに砕け散る日は早いのかしら。このまま色んな人の血を吸い続けて、私は普通に戻れるのだろうか。遠い未来に思いを馳せれていたら、ポケットの携帯が現実に連れ戻す。 「プロント?」 「ペスカ、どこに居んだよ。探させるなってーの!」 「あーギアッチョ?」 「テメーに耳は付いてるのかよ!質問に答えろペスカ。」 もうちょっとしたら今の場所から離れるわよ。プチッと電話を切ったが、またすぐに電話がなる。ギアッチョだろう。また、電話を切るんじゃねぇ。とか言い出しそうなので鳴らない振るえない静かな設定にして、そっと財団の病院を去った。無論証明証は燃やしてポーチの中にきれっ端をしまい込んだ。 ふと思い出したリーダー指定の買い物はかなり遠い店にしか置いてないものだった。あつぅ。と茹だりながら、ぼんやりアジトの帰路につくのであった。 太陽を浴びた肌はすこし赤くなっている。後で対処しなければ。なんて思いつつギアッチョのキレキレ説教からどうやって逃げるか算段をたてなければならない。やだやだと首を振りながら歩けばアジトは目前。 前 戻 次 ×
|