ジョ長 | ナノ


昨日、メローネの頼み事をこなして、今日は完全フリーになったので目の前の皿を片付けるために皿を重ねて持ち上げたら、ふらり。とした世界。やばい。なんて感じたときには世界と唇を重ねてたし、皿は粉々だ。まぁ、スタンド使えば治るが。音を聞きつけたリゾットが事務所から顔をだして、こちらを見ている。イルーゾォも不思議そうに、こちらを見ていた。

「大丈夫か?」
「まぁ。足元絡まっちゃった」

適当なことを言い曖昧に笑い、上体を起こす。顔色が悪いが、と言われて最近仕事してなかったな。と気がつく。仕事をしても、誰かとペアとかだから、ねぇ。血を吸うに機会が恵まれなかったのだ。

「残りはしておこう。」
「…やるわよ」
「ゆっくりしてろ」
「…なら、言葉に甘えるわ」

ふらりと立ち上がれば、目を回し、へたりと座り込む。また転びかけた私をすんでのところでイルーゾォが拾い上げた。

「ペスカ、大丈夫かよ」
「昨日、日光、浴びすぎちゃったからかな…」

正直、心当たりはこれしかない。具合が悪くなるのも、体調が悪くなるのも、すべてはエジプトで無くなったハートの王子様のせいだ。

「太陽の光弱いんだ。」

まだ大丈夫だと思ってたんだけど。吐き捨てれば、黙ってろ。とイルーゾォにかつぎ上げられてソファーに沈められる。健全的な意味合いで。

「ゆっくりした後にでも、俺と筆記の勉強するか?」
「イルーゾォ、先生おねがいしてもいい?」
「いつもヘルプ入ってくれてるからね!」

正直な話、日本語以外の筆記は苦手だ。スタンドの力で書き込めるが、片割れはそれを良しとしないからだ。仕方なく独学からこそスペル間違いを起こしやすい。だから筆記は現地人に任せる。書いて、添削は毎回チームの誰かがして、許可が出てリゾットに提出が多分一番の近道だ。大体はギアッチョ以外なら面倒見よくしてくれるから、毎回頼ってしまう。因みに今回溜まってる報告書は7枚。ハーヴェストにとってきてもらった書類を渡して、ゆっくり甘い珈琲を飲む。イルーゾォはうんうん。と羅列を置い、鈍い顔をした。
時間にして30分で書類を見終わった彼は私の顔色を見て、回復したね。と言うので遠慮なく勉強会が開始された。

「ペスカ、ここ文法が可笑しいよ。なに、侵入させて暗殺って…マン・イン・ザ・ミラーで許可でもだした?」
「ううん、ちがうけど…」侵入させて、を、書き直しして、1枚目のオッケーが出たのでイルーゾォは2枚目に目を通して、かなりのにらめっこを展開している。

「バステト…?」
「…全部能力リストでも作る?見つかった時のデメリットしかないけど…」
「それはやめた方がいいね。」

だね。言いながら自分のスタンド能力から無限の可能性まで引き出せるが、それを開かせる理由もない。

「簡単に圧死させたわね。」
「ペスカのってそんなことまで出きるんだ…」
「まぁね。」
「要は頭の使い方よっ。」
「ホルマジオみたいなこと言ってー。」

意外と元気そうで良かったと言われて、心配かけたかな。と頭の端によぎる。きちんといつかはなさなきゃ。と、タイミングが。迷うと同時になんだか見られてるような感覚に陥り考えるだけでまいつの間にかスタンド攻撃に有ったかしら?思考を巡らせたがあまり思い出せず、考え込んでいたら呼ばれて我に返る。

「ペスカ?」
「なに?」
「続きやるよ。」
「そうね。」

ぼちぼち書類に手を着け、二人で黙々と作業をする。太陽の光を受けた右腕は、地味に赤くなっている事実を見ない振りしておくことにしよう。



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