なんだか騙してるような気もするがそのうち話せばいい。半分は正解なんだから。そう割り切って冷めた珈琲を一気に飲み干しておかわりをいれる。リゾットもソルベもいる?と聞けば、もらう。というリーダーと湯冷めするから寝る。とソルベがリビングから出て行った、リゾットと私が残って変なタイミングが残る。 入団記念のケーキと私とリゾットの珈琲を置けば、グラッツェと帰ってきて、どういたしまして。と返事する。最近まで一人暮らしをしていた私には、むずかゆい距離感を感じながら、リゾットの向かいに座る。 「傷はどうだ?」 昨日からそれしか聞いてない気がするが。そう聞かれたら言うことは一つ「傷。もうほぼ塞がった。」と言えど彼は心配性だ。 「…そうか。」 「傷の治りが凄く早いから。気にしないでよ。」 何かをいいにくそうな表情をするリゾットがなんか珍しいなぁ。と私は思った。なんだかんだ面に出さない人かと思っていたが、こうやってみてると色々表情豊かだな。と考えた。 「そう言えば、こういう派遣は初めてなの?」 「何回かは聞いたが、うちの適性じゃあな…色々汎用性が高いからペスカが指名されたんだろうな。」 「とりあえず、派遣先の任務が暗殺じゃないのが解ったわね。」 ここよりも死なない任務ね。と言えば、まだなにか言い出そうなリゾットが心配そうにこちらをみている。ちょっと居心地悪くて、見つめかえしてやれば恥ずかしくなったのか彼は目線をそらした。 「何よ、私そんなに簡単に死ぬつもりは、この血のおかげでないわよ。」 「来てから任務ばかりで申し訳ないな…」 「気にしないでよ。仕事は好きだし、内容がアレだけど。昔もこんな事してたし、割り切れてるわ。」 「そうか。なら良かった。」 「早く片付けて帰るから。連絡まっててね。」 パクリとケーキを食べれば、ふわふわ生クリームが口の中でとけていき、舌包みをうつ。リーダーはカップを持って立ち上がるので、あとでやるわよ。カップの一つや二つ大した差はないし。ね。と申し出て、机の上に置き直し、事務所兼部屋に向いて歩く。部屋に入るちょっと前に立ち止まり、あぁそうだ。とこちらに立ち止まり言葉を投げかける。 無事に帰ってこい。待ってるからな。俺はまだ書きかけの書類があるから起きてるが、派遣は明日の朝からだから速く寝たほうがいいぞ。ペスカ。 そんな言葉を残してリゾットは事務所兼部屋に帰ってった。待て待て待て。今なんていった。明日?おいこらリーダー、早く言ってよ、と時計を一瞥したら夜中二時。明日朝というんだから朝食も自分で作って済まさなきゃならないみたいな時間なんだろう。と計算したら時間はわずか、ヤバい。と思い慌ててカップを洗い流ったが、まったく眠る雰囲気でもテンションでもなく。仕方ないなぁ。と寝ることを諦めて、珈琲の追加を洗いたてのカップにまた注ぐ羽目になった。 ケーキももう一切れ食ってやらぁ。とやけになりながら、私は夜更かしをして朝を待つ。ぼんやり思い浮かべたのはつい最近幻のようなお化けを思い出していた。 「花京院見守っててね」 まだそっちには行けないから、肩の星をなでれば近くに感じる何か。 近くにおじいちゃんの第三の浮気相手が居たりして、もうあれは勘弁してほしいが。ぴょこりと現れたうさぎは、足元を駆け回ったかと思えば机の上のケーキをほとんど食べて消え去った。ほんと、アイツいい性格してやがる。自分の生身体に腹立てながら、ケーキの残骸の処理を始めた。残骸も旨いが、ヴェルデ。お前が苺をとったのは許さない。 前 戻 次 ×
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