それからまたみんな散り散りに部屋から出て行き、私だけが残った。一人冷たくなった珈琲を飲みながら、考える。派遣ねぇ。珍しいわね。と思いながらさっき引っかかりを覚えた言葉を考える。 「うちから。か。」 この言葉を聞く限り、組織から信頼を得てないようにも聞こえる。仕事が仕事なだけに、なんだろうか。色々と浮かんでは消えたが、私にこの組織も矢も見つかる気配はない。「大丈夫かなぁ。」なんて呟けば、背後から声が聞こえた。「起きてたのか。」と、振り返れば、仲間が一人。風呂上がりらしく、石鹸の匂いがほのかにする。 「ソルベ…。」 「傷は大丈夫か」 「あのふさがり具合ならすぐ治っちゃうわ。」 ぱん。と軽く傷を叩く。叩いても問題ないくらいに全く痛くない。 「そうだ。ケーキ有難う。美味しかったわ!生クリームが胸焼け起こさないから、気持ちよく食べれたわ!」 「いくつかオススメが有るが。」 甘党はこっちだったか。確かジェラートがブラックコーヒー飲んでた気がするが。 「どんなのが好きだ」 「甘いのならだいたい好きよ。」 「いいバールが有るんだ。どうだ?」 「この監禁生活と派遣が終わったら行きましょう。ソルベとジェラートと私でね。」 とりとめない口約束と取り交わしていたら、リーダーが部屋に入ってきた。 「ペスカ。まだ起きてたのか」 「もう寝るわよ」 「俺が引き留めてた。」 「ペスカ。」 「なによリーダー。」 ここに慣れたか。と聞かれて、悩む。ここにきて十日経たず、今し方チームの全員と一言二言交わしたばかりで。 「慣れた慣れてないかはわからないけれど、ここの空気は好きよ。」 家族愛ってこんな感じなのかしらね。てはにかんだように笑えば、ふむとリーダーは考えて、こんな俺達をか。と言うから素直に頷けば、リーダーは形を動かした。 「そうか。ペスカ、ありがとう。」 「こちらこそどういたしまして?」 「俺は、リゾットで構わないからな。」 家族愛だろう。と言うから言葉とちらりと見える。もう…イケメン耐性ついてないんだけど。イタリアーノはどいつもこいつも…いやうちのチームは黙っていたら、内実ともにいいのに。メローネとかギアッチョとか。 「オーケー、リゾット。改めてよろしく。」 「あぁ。ペスカ、そろそろ寝ないと明日に響くぞ。明日から派遣だしな」 「え、まだ監禁生活続くんじゃ。」 「ソルベから聞く限り問題も無し。それに、上からの指示だ一日でも速い方がいい。」 「にしても、目的が見えないな。」 「どういうことよ、ソルベ」 リーダ…リゾットから、視線をソルベに移せば、難しい顔をして考えてた。私は、この組織を知らない。どんなチームがあってどんな動きをしているチームがあるのかもしらない。 「派遣。だなんて、今まで無かったんだ」 「…うちにオンナが足りない。とりあえずそれで良いんじゃない?」 条件にはまるのは私だったか。よくわかんないけど、そのあたりは報告書に書くわよ。安心してよリゾット。 「お前はいいのか?」 「まぁね。」 オンナ。の仕事は決まっているが、この道に踏み込んでるんだっの。大丈夫よ。覚悟は出来てるし…。 「生きるためには。よ」 「無理はするな、俺達を頼れ」 「うん。頼るよ。」 ここはお前の家だ。なんてきっぱり言い切ってくれるリゾットに、ちょっと感動したりするがよくよく考えて私は有る意味組織まで嘘をついてるのだ。無いから嘘。だとは言わせない。SPW財団にちょっと私の関連資料を置いてるのだ、組織が気付かない筈がない。 前 戻 次 ×
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