「待たせたな」 「大丈夫よ」 会場入り口でプロシュートと落ち合って、恋人風情を醸し出して、会話を紡ぐ。腰を抱かれ、会話しながら会場に入る。 「やっぱりプロシュートは目を引くのね」 「お前もそう言う目で見られてるぞ。」 「あらやだ。恥ずかしいわ」 茶化すように言ったが伝わらず、離れんなよ。とささやかれたら普通はどんな女も落ちるだろうなぁ。なんて考える。残念ながら年下は興味無しだ。 プロシュートは隠してるが、きっと、リーダーにどやされるが枕についていただろうに。そこを隠すあたりがイタリアーノなんだろうな。とやはり。 「プロシュート。」 私の背後の黒スーツ茶色のタイ。スタンド使い。そっと、耳打ちをして、プロシュートがチラリとそちらを盗み見る。スタンド使いは、ちらほら見えるけれどプロシュートが先手を決めれば問題ない。 「まぁ、構わない。とりあえず、不審がられないように、一曲踊るか。」 「へ?踊るって、ダンスパーティだったの?私踊りなんて、まったく」 「大丈夫だって、俺が教えてやるよ。」 嫌よ。筆記の勉強を見て貰った経験の限り、なんだかんだ鉄拳が飛んできたじゃない。と抵抗したが、ダンスパーティで女に手あげるかよ。ダンスパーティじゃなかったらあげてるのかよ。と喉でつっかえた。報告書にイルーゾォ使いながら書いてやると呟きながら、ボールルームに飛び込むはめになった。 「ダンスのうまいスタンドなんて私知らないからね」 「そんなスタンドいるかよ」 そうよねー。言い返されてぐうの音もですひるむ。拳なら勝つのに。畜生。プロシュートに促されるまま動かされるが、このイタリアーノ。なんでも出来すぎじゃないかと考える。 足元はプロシュートに任せて、クルクル回れば、曲が終わりを告げそうになる、任務の時間はそろそろで、茶色タイのスタンド使いは移動しない。グズグズしてると相手方が感づくならば、「プロシュート、あのスタンド使い。引き離しておくからよろしく。」そっと告げて、ペスカは飲み物とってくるわ!Ciao!と人ごみに宣言するよいに人ごみに消える。 「ペースト、辻綾、シンデレラ」 違う顔になって、近くウェイトレスに声をかけて、酒を聞く。スタンド使いは、すぐ背後にいる感覚がする。 「シニョリーナ、お酒は初めてかな?」 「あまりこちらのお酒を嗜んだことがなくて…」 「カルーアベースのを彼女に。」 かかった。ここから離せるきっかけは作った。後は引っ張り出すだけだ。 「どうぞ、飲みやすいものですよ」 「ふふ、ありがとう。」 触れた指に、ちょっと驚く仕草をしてグラスを落とす。あらやだ、お召し物が汚れてしまったわ。と、男の手を引いて会場から出るプロシュートはこちらの思惑に気がついたみたいで、アイコンタクトは通じた。 シニョリーナ、と目の前の男が呼ぶけれど、とりあえずは人気のない通路に入り込み、シンデレラを解除する。 「ペースト、岸辺露伴、ヘブンズ・ドアーっ」 胸に挟んだ手書きの絵が、こんなところで役立つとは。持つべきものは経験とスタンドの記憶だと、思う。開いたページを読み解き、目の前の相手が、どんな能力か、と知ろうとしたその時、耳の金具がぶっ飛んだ。地味に痛い。 「…他のスタンド使いがいるのかしら…」 見なければ。と判断して、眼前の男を捲る。名前と能力を把握するためにページを捲り背が凍る。今回、この解除に身辺警護の為に居るスタンド使いは数人。目の前の男を省いても、会場に3人。近中遠となんでも対応出来るようになってるらしい。ヤバい。と感じて、男のページを千切り捨て、会場に急いで帰る。 前 戻 次 ×
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