「ご馳走様でした。」 手を合わせて、ご飯終了の挨拶をする。私の食事が比較的遅いほうであり、周りを見たらもうみんな落ち着いて珈琲を飲んだりして、いるのだが、目の前の男、リーダーがこっちをまだ見ている。 「リーダー・・・?」 「ペスカ、お前に話がある。俺の部屋に来い。」 「ん?ん。食器下げたら行くよ。どこ?」 「ペスカ、俺が下げておくからさっさと行け。」 え?まじ?ホルマジオカン。ありがとう!なんて礼を言って、私はリーダーの後を追うように歩いた。イタリアーノはほんと女の扱いが上手すぎて太刀打ちできない。どう対処していいのかなんて思う。 「とりあえず、入れ。」 「ん。はい。」 事務所も併設してる。とかって言われても納得できそうなほど質素な事務机と椅子と、ベット・・・あれ?クローゼットどこよ。なんて突っ込みかけたが、無視、座れ。と指示を受けて事務机正面に設置された簡素な椅子に座り込む。 「仕事はどうだ。」 「この能力さえあれば、ナントカやっていける気がするわ。」 「組織から貰った身辺調査等記入されている書類はまったく白紙なんだが。これはいったい。」 「闇の中で育った。というべきなのかしらね。この能力が珍しいから、私は飼われていた。だから、表立った履歴なんて無い、ただ、あるのは人を殺すすべだけよ。」 イギリスには帰れない。帰ったらつかまってしまう、もしかしたら殺されるかもしれないわ。もう、居場所は個々しかない。帰る場所も、何も無いわ。過去の経歴も。与えられるだけの生活だったの。だから、すべてが新しく感じちゃうわ。 「・・・そうか、」 「私に監視でもつける?」 「いや。逃げ出したら捕まえる術もこちらは持っている。待っていろ。」 頭をそっと撫でて、リーダーは部屋を出て行って、人の腹を揉んだアシンメトリーの髪をした男を連れてきた。 「リゾットから、何かあったときのために君の血を少し貰うね。」 簡単に開けれる新品の注射器と、アルコールをもって男が柔らかな笑みを浮かべる。哀愁ただような笑みにふと、花京院が思い浮かんだけれど、その記憶は無視して、利き腕を出す。優しい手つきで男は血管を調べて、アルコールで除菌するのを見つめた。 「あ。自己紹介してなかったね。俺メローネ。もしかして注射怖い?」 「ペスカよ。注射は別に怖くは無いわ。」 SPW財団で健康状態とDIOの関連でよく検査やら採血やらされたから、慣れているし、怖くは無い。メローネのほうが慣れてないらしく、血管探しに苦労しているのを見る限り、スタンドで相手を殺すタイプのようにも見える。「自分でやるわ。貸して。」と、奪い取って、自分の利き腕じゃない方に消毒を施し、迷い無く刺す。どれぐらいいるの?と聞いて、指定された量までそっと血を抜いた。 前 戻 次 ×
|