ジョ短 | ナノ



任務のない昼手前、ペラリペラリと雑誌を流し読みをする。文字も記事もろくすっぽ頭に入って来なくて誰かにDVDでも借りるか。とか思った、絶対ロクなDVDがない。このアジトに。特にメローネやギアッチョの部屋。性的なのとジャパニメーション的なの多そうだな。変な考えを粗大ゴミにして何をしようと思考を巡らせてたら、リビングにイルーゾォが入ってきた。

「ペスカ、居たんだ」
「今日は任務がないからねー」
「最近ずっと任務じゃなかった?」

そう言われればそうだわ。この二週間、イタリア中を駆け巡った気がする。電気と同化して移動だから移動費無し、コスト要らず。なのは解るけど、もうちょっと待遇よくしてくれても良くない?と言えばイルーゾォは少し眉根を寄せた表情をしたから、どうしたの?と聞けば、なんでもないよ。と言って、話を切り替えた。

「ペスカのそれって、自分で入れたの?」
「それ?」

首もとは見せられない跡をひた隠しにしているのでこれではない。なら、どれよ。と考えたら肩の。と言ってくれたので理解した。袖なしタートルネックの背中が大きく開いたもの(下乳横乳はガッチリ見せないわよ!)を着用してるからか、やけに目立つ星形の痣を指差して、言う。こう黒々とハッキリしてたら彫った風に見えるわな…。

「生まれつきよ。ハッキリ彫ったみたいだから、この痣は好きよ」
「しっかりした痣だね。なんか、位置もちょうどいい感じだし、ほんとオシャレで彫りました。って見えるね。」

この痣もあるし、星は好きよ。海も好きだけど、天体を見てると私は落ち着くわ。…無論、片割れは海の星である海星が好きだが。

「今度休みが有ったら、プラネタリウムでも見に行こうか。」
「いいわね!イルーゾォも天体好きなの?」

天体のゲームがあってギアッチョから借りたら面白くてさ、ちょっと興味があったんだ。と話が盛り上がる。惑星も星座も好きだが、広がる宇宙を思うことはまるでスタンドのタイプを考えるように胸が高まるの!なんて漏らせば、ペスカは不思議だね。と評価を下した。ので不機嫌に陥ってると、リーダーが自分の部屋から顔を出して、ペスカを呼んだ。

「ペスカ、居るな。」
「何かしら。」
「今から任務に行ってくれ。毎回悪いな…」
「イルーゾォ、今から一緒に行って仕事を片付けて、ご飯にデートと洒落込みましょうよ。」

ね。休みなんていつ来るか解らないもの 。と小首を傾げて、言ってみれば、イルーゾォはペスカに言われたら、答えるしか無いじゃないか。と笑ってちょっと着替えてくるよ。と鏡の中に消えてった。ほんとあの能力は便利だけど、なんだかなぁ。イルーゾォだから許せるんだけど。

「いつもすまないなペスカ。」
「ある程度落ち着いたら纏まった休みを頂戴ね。待ってるわ。」
「あぁ。解った。」
「リーダーって。きちんと寝てる?」

熊出来てるわよ。と指摘すれば、ギョッとした表情をしてなぜ解ったと顔に出てる。いつも鉄仮面みたいな表情とのギャップがなんだかおかしくて笑ったら、ハサミを吐き出さされた。理不尽過ぎる。ギアッチョより理不尽だ。ってか「任務前に何してくれるのよ。」と言えば、仕事から帰って来たらペスカは鉄分が増えてるから大丈夫だ。と…そりゃあ血吸ってるかんな!増えるわ。誰か知らない血だけど。

「無事に帰って来い。待ってる」

ならメタリカをするな。とのどにつっかえた言葉は仕事にぶつけようと決めたある昼少し前の話。


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