ジョ短 | ナノ


「ペスカー!」
「イルーゾォ!こいつ鏡の向こうに飛ばしてよ。帰ってきた途端に煩いっての。」
「嫌だよ。ペスカも俺のスタンド能力使えるだろ?」

えー。血吸い採っていい?そんな血不味いだろ。そーよねー。
ぐりっと肉を踏んで、男の悲鳴に似た声が響かせながら、ペスカは窓辺から一番遠いペスカの席に腰を下ろす。ペスカはつまらなそうに視線を落として、ここで半殺しにするとリーダーが五月蝿いもんね。外に投げ出す?と足下に転がるメローネに問いかける。毎回懲りねぇ奴だなぁ、ペスカそのへんにしとけラッテはいるか?いるいる、ホルマジオのは美味しいもん。
賑やかにやり取りを繰り広げられていると、玄関から疲れた顔したプロシュートとペッシがやって来た。殴られ痕を作っていたペッシの傷を治して、俺にもやれとプロシュートがペスカに詰め寄る。やれやれと言いながらプロシュートの傷も消す。
労えと訴えると、ほら子どもはさっさと寝ろ。とプロシュートに扱われ、額に唇が落ちる。腑に落ちないペスカはスタンドを呼び出して殴りかかろうとしたが、虚しく空を切る。

「仕方ないわねぇ。こうなったら仕方ないわプロシュートちゃん。」

携帯をチラチラさせると、そこに昔スタンド能力で幼くしたプロシュートの姿が一つ。プロシュートの視界にいれてやると、テメェと伊達男に似合わぬ形相で、ペスカの手から奪おうと動く。が、ペスカはふわりと交わし捌く。
「動くな!ペスカ!」「いやぁよ!」と遊ぶように跳ねると、ドタドタ足音を鳴らしてギアッチョが部屋に降りてきた。

「お前らうるせぇ!」
「残念!私にはききませーん」

大振りなけりを交わして、ちらりとまだ開かない扉を見やる。賑やかさに誘われそうにもない奴だからなぁ。と思いながらドアを見つめていると軋ませながらその扉が開くところで、それが夢だと気がついた。
誰も帰ってこないこのアジトで、どうやら眠ってしまったようで、窓ガラスから月光が取り込まれていた。

「なんか、あんたたち。ふらっと出てきそうよね。」

あー怖い。怖い。ペスカは自分の気持ちを誤魔化しながら、埃臭いソファーから立ち上がる。その勢いで膝から一枚ブランケットが落ちた。
部屋には私しか居なかったはずだが。
はて、と一人首を傾げながら、あいつらも元気でやってんのかな。と埃だらけの部屋をぐるりと見回すのだった。

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