夢をみていたんだ。 ふとした光景が、見えた。 誰かに会った気もするけれど不覚は覚えてない。ただ気が付いたら赤い目になったりならなかったり。して、目が痛くなったらオカアサンが話しが出きるから、痛くても我慢が出来てこの能力をがんばっていた。 不意に見えた、知らない誰かとオカアサンが、車で出かけて事故にあう一瞬。 それを伝えたら、笑って馬鹿だねうるさいな、んなもん当たるわけないから、黙ってよ。と言われた。 二日後、当たった未来にオカアサンは気味悪がって、それをきいたオトウサンは自分の出世の道具として生かされるようになった。 「朔…」 「…」 仁義や人情の世界で生きるオトウサン、お酒が入ったら私を殴るオトウサンが、私に言う。 ひたすらに未来だけを見つめるように。オトウサンの親父さんのために未来を見ろと。 最初はおっかないと言われても居たのも聞いたし、能力に信憑性もないと突っぱねられて、その度に小さな未来を狙いすますように当てた。 見えない時のオトウサンの機嫌がよくなくて、また殴られたりした。そしてオトウサンは親父さんに怒られてるが、痛い思いも、辛い思いもしたくなかったからただ必死に未来を見つめた。手柄を立てたらオトウサンがやさしくなるから。私は頑張った。 オトウサンの上にいる親父さんの為に、淡々と未来を見続けて、オトウサンが優しくなってくれるなら。 怖い世界だと世間は言うけど。オトウサンも親父さんもほかの仲間も優しい人で。 いつの間にかオカアサンは家にすら帰ってこなくなって、オトウサンと私だけで暮らすようになった。 「オトウサン」 「ムツ?」 夕暮れの涼しくなった街中、親父さんに呼ばれ私とオトウサンの二人で歩く。夜、何が食べたい。と聞けば、何品か答えてくれて、冷蔵庫の中身を思い出していた刹那、映像が見えた。オトウサンが赤を散らして地面に崩れた。 「あ。」 「未来か?」 「オトウサン、」 危ない。と声を上げた刹那、破裂音がオトウサンが陽炎のように踊り落ちた。口から赤を吐き出したオトウサンは親父さんのもとに逃げろと聞いて朔は親父さんのもとに走った。腕が千切れてしまうのではないかと思えるほど振り切る腕と、無理やり地面に叩きつける足が痛い。そして走ってしんどいよりも、酷く目が痛かった。 前 戻る 次 ×
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