「サメラ、」 はいなんですか。と言うぐらいにサメラの目は物語っていた。その手に細身の刃と目の前で豪快に笑う団長を交互に見た。 「お前もここにきて結構過ぎただろ。」 だからさ。 お前がいつまでも手伝いじゃ困るんだよ。そろそろ自分の食い扶持を稼ぐようにしないとな。 色々やってみて自分に合いそうなのを選べばいい。いや、料理は必須で欲しいがな。ウチお抱えは味音痴でなー。いやこれはまぁ出来なくてもいいんだが。 ぐぬぬ。と悩む大男にサメラは尚も首を傾けた。ぼんやり薬師からは聞いたが、そんな未来を描くにはサメラはまだ幼い思考しか持ち合わせていなかった。 「とりあえずはだなー。生きるために戦いを覚えるんだ。必要最低限は、な。」 すべてにようやく把握が出来た。生きるための仕事を覚えて、そしと生きるために戦う術を得ろと、この男は言いたいのだ。 「さぁ生きる為に構えろ」 団長が、白光するレイピアを構え、サメラの隙を伺う。サメラはそれに習い、困惑を浮かべながら武器を強く握り締めた。 「大丈夫だ、刃先は全て潰してあるから、誰も傷つかないから安心しろ」 それを聞いてサメラは良かった。と言わんばかりに胸をなで下ろし、団長の懐に潜った。 「…っ!?」 寸での所で団長はなんとか交わして、一撃目は逃げれたがるサメラの二撃目は容赦なく団長の急所を捉えた。 「ぐぁあっ」 身長差が生んだ悲劇であった。 「テメッ、サメラっ…」 「天下のダンチョー様も形無しだねぇ」 薬師の婆様が留めをさして周りが湧いた。安心してかかってこい。と言った手前の団長が、儚く崩れ落ちた。武器屋の親方はゲタゲタ笑い団長をからかいだしている。 「…サメラっつ!」 コノヤロ!と団長はサメラの首根をつかみサメラはジタバタ暴れた。団長は安心してかかってこい、と言ったのだ、だから安心して行ったのにこの現実はなんだ。と頬を膨らませた。 「でも、団長が言ったもんなー」 味音痴料理人の言葉に頷き、勝敗はサメラに下りた。団長の手を無理くりにげて、団長の手から届かない手近な木に逃げた。 「うーん。サメラって身軽なんだな。うちに目玉がねーんだから、サメラを目玉になんか出来ねーかな。」 「サメラを目玉?。やりゃ出きるだろうが…。」 前 戻 次 ×
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