ルドルフ | ナノ



キチンと訓練すりゃあ、危険な事はないが…サメラ、お前はどんなことをしたい?と話を振られてサメラは首を傾げた。

「サメラはチビ…」

口数少ない長身の男が言い放つのをサメラは聞き逃していなく、サメラは頬を膨らませ、長身の男の前で飛び男の頭を勢いよく叩いた。

「って…サメラ。」

チビ。って言ったことに謝れとサメラは目線で訴えたが聞き入れられず、睨み合いが続く。

「サメラは、身が軽いのな。それだけ軽かったら婆様の薬の元も楽々だなっ」

いつも婆様に頼まれ薬草を積む彼らがそういった。いや、俺も崖っぷちとか毎回怖くてな。と尻すぼみに消えゆく言葉を聞いてサメラはふむと頷いた。

「とりあえず周りからは、かじる程度の基礎を。んで俺とは軽業と必須戦闘のの勉強な。」
「団長?」
「大丈夫だーって、ここがどこだか解ってんだろ?」

そこに戦いがある限り、俺達のキャラバンがあるんだぜ?先頭であり戦闘集団の名をどこにも譲るつもりはねぇぜ?

団長がニヤリと笑いサメラの手を引く。その笑みを見てサメラはなんとなく引っかかったが、そんな笑みの意味もかなり先の未来に知るのである。

そうしてまたサメラは大きくなる。
生きるための戦いを覚え、生活のために仕事を覚え料理も覚え。サメラはまた一つ年を重ね、成長する。

「サメラ。」

団長に呼ばれ、サメラは団長に駆け寄る。キョトンとした表情を浮かべて首を傾げた。

「おまえが育った町…だったかな。そこの近くを通るんだが、一端寄ってくか?」

そんな言葉の端に浮かぶお母さんの姿。優しい笑顔で、おかえりと言って抱きしめてくれた。

「…」
「まぁ行くも行かないもお前次第だがな。」

頭を撫でられて、ゆっくり気持ちの準備して考えろ。と諭されサメラの中で、色々な感情が巡った。
飼い主はお母さんまでもサメラが殺した。と言った。世界をぐるぐる回っても、森を焼いた。だなんて、飼い主しか言ってなかった。

選択肢を与えられたがサメラが選ぶ道はもう決まっていた。
会いに行く道。それだけだ。
いろんな期待を胸に納め、サメラはただ母ティンクトゥラに会えるのを楽しみに、心待ちにしていたのであった。



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