ルドルフ | ナノ



「陛下、ゴルベーザなる者がバロンを動かし風のクリスタルを奪いにくるとのことです!」

ヤンが報告をしている間、視線を動かした。リディアが右隣でちょこんと、立っているし、ギルバートはリディアの反対隣にいる。その隣にはローザとセシルが心配そうにヤンを見つめている。

「…然して、そのほうたちは、何者じゃ?そのゴルベーザとの通ずる者ではないのか?その姿はバロンの暗黒騎士であろう。信じてよいものかどうか。」

まどろっこしい。国の王ならばこうなるのは当たり前なのだが、こういう場所に立つと、いかに自分が短気なんだと実感する。平然を保っていられるか、心配になってきた。貧乏ゆすりをしそうになった途端、行動が見られた。

「お久しぶりです、ファブール王。」
「これは、ダムシアンのギルバート王子。」

……王子?。耳がおかしかったか…王子って言わなかったか。今。きょとんと見つめていたら話をふられて口が開きっぱなしだった。ことの成り行きをただ見つめる。

「ダムシアンもゴルベーザの手によって…僕の愛しい人も…」

僕だけで言葉が足りないと言うなら、世界を旅する赤華の集団の彼女の言葉なら信じれますか?と言葉から、ギルバートの視線が向いた。

「彼女、武人事変のキャラバンも全滅したんです。ゴルベーザへ力を貸すのを拒否したせいで…。ファブール王それでもまだ説得する足りないですか?」

力強く訴えるその姿は、キャラバンに居た踊り子を思い出した。両の目の見る力が弱かったあの踊り子も、リディアやミシディアの押さない魔導師のような幼さの塊であった。

「…赤華のサメラ・ルドルフだ。」

うちのキャラバンがやられた。別件ででている間にゴルベーザ直々に出てきて、やられた。生きてるかも死んでるか7わからない。

「ふむ…世界を渡り歩く集団がいてくれるなら心強い。わが国のクリスタルのためにの力を借してくれないか?」

はなから言ってるだろ。と言いかけたらギルバートに口を押さえられて、セシルが何事もなかったかのように、肯定の返事をした。

「この方たちは素晴らしい腕をお持ちです。武人事変と共に最前線に就いて頂きます。」

ヤンがそう言うならと、話はトントンと進み、夜明けと共にそれは南の空からやって来たのであった。




×