「サメラって、鳥みたいだね!」 「…鳥、なぁ。」 不意に言われて、生返事を返した。先頭を歩き、肩車でリディアを乗せて、足を止めて振り返ればリディアが少し離れたセシル達に手を振った。少々疲労の色が見えたセシルが丁寧に手を振り替えした。思ったよりシンコペーションが遅い気がしたが、とりあえずリディアに返事をする。 「鳥は…好きじゃあないな。猫のほうが好き、かな。」 「鳥さん。綺麗だよ?」 目の前で人が食われたりとか、色々あったが、昔、聞いたんだ。 捨て子を食べる空飛ぶ魔物がを倒したら私が降ってきた。とな。言い切ってから、止めていた足を動かし出して、また山を下り出す。 「サメラのおかーさんから?」 「本当のお母さんじゃないけど、育ててくれたのは、森の賢者ティンクトゥラがね。」 まだ、あの森は、あの家は…。 瞼を閉じれば思い出せる間取りは、もうみれない。眩い光が、母を、家を、全てを奪ったのだから。 「ファブールのクリスタル守ったら、行こう!サメラ」 にこやかに笑うリディアを聞いていたら、昔の記憶がよみがえった。人と違うだけで畏怖し、弾く集団の記憶が。いままで色々あったな。と物心すらも無くしたあの頃を思い出した。 「いや、ひとりでいってくる。」 「そうだね。おかーさんと一杯お喋りしたいもんね」 「そうだな…。」 ふ。と吐き出した息は、白い。空を見上げれば、寒波のせいか、鈍色の雲が広がっている。雨か雪も近いかもしれない。 真ん中で導になるヤンは、平然と歩き殿のバロンからの二人は、寄り添うように歩いている。 「…森の賢者…か……老師は、元気かな…。」 ふらりとたまによる置いた賢者が、たまに家にきたのは覚えてる。町と森の外の広い世界を聞いたのは、まだお母さんが元気だった頃だ。お母さんが弱りだしてからは、顔もあわしてない世界を渡り歩いたが、未だに出会わない。カイポ出身とも聞いていたが、どうだろうかと首を捻った。 「サメラ?」 「なんでもない。」 くるり。ときびすを返してサメラは歩き出した。山肌を叩くような風邪を聞いて、軽やかな足取りでサメラは山を下る。まるで小さな坂を降りるかのように足場の悪い山肌をしなやかに下った。一方、遙か遠くのセシルがするするおりるサメラを見て苦笑を浮かべて殿を歩いた。 前 戻 次 ×
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