ルドルフ | ナノ


「加勢する」

モンク僧の横を走り抜け、岩場の一つで十二分に踏み込み、魔物の頭上に飛び上がる。大刀を魔物の脳天気からねじ込むように埋め込む。

埋め込んだ剣の柄に全体重を乗せ傷口を広げれば、広げた傷口にブリザドが真っ直ぐ入る。魔物は雄叫びをあげ、モンク僧が叫ぶ。

「奴の気が増大するっ。全員離れろっ。」

そんな声が聞こえると同時に一番近くに居たローザの前に立ち構える。無形、掴めないものだが、少しでも気休めだ。愛武器は魔物の腹にささりぱなしで。髪も防具の中に押し込んで、息を吐き腰を落とす。「気合いだっ。」と叫ぶ刹那、世界が赤に染まる。熱い。肺の仲間でやけどしそうな感覚に陥る。かゆいかゆくて仕方なくて辛い。ジリジリ焼かれてる感覚がわかる。

それも一瞬なのに長く終わらないのではないかとサメラは感じた。冷たい空気が胸に入って噎せる。背中がひりひり痛い。背後の魔物は姿を変え小さくなった。サメラは、それを見つめ大刀を抱えなおす。

「サメラっ。」
「私にケアルをかけるな。」

でも。と怯むローザにサメラは背を見せたまま駆け出した。空を駆けて勢いよく大刀を振り、勢いわ殺さずに大刀を回し続け魔物二体を真っ二つにした。
大刀が地に刺さりサメラは、よたりと一瞬ふらつく。
それをチャンスと魔物が口を開く。その口にセシルが口の中に武器で貫き引き抜く。

「サメラ、離れてっ」
「ブリザドっ」

冷気の波が、地面を走り魔物を凍らせて沈黙が出来た。魔物がすべて、朽ちた。

「ポーション持ってたっけ…」
「サメラ、今ケアルを。」

ローザが詠唱しようとしているのを止めて、息をつく。どうしてと、いいかけたのを説明するために口を開いた。

「ケアルの効きが悪いから、私には必要ない。それよりポーションを持ってないか?」
「ケアルッ」
「リディア、今話を聞いてたか?」

かけられた魔法により、背中は落ち着く事無く血が滲む。ふらりと世界が回ったような気がして、しゃがみ込めば慌てたセシルが頭から盛大にポーションをかけてくれた。助かった。死ぬかと思った。

「サメラに白魔法がきかないのはよく解ったわ。かからないように注意してね」

できるか。と裏手突っ込みを繰り出しかけたが、面倒が勝って諦めた


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