夜遅くにギルバートだけが帰ってきて、彼女、仲間の弔いするんだ。って。朝にかえってくるみたいだよ。と伝言をもらい、彼女は宣言通り朝に帰ってきた。 置いて放置されてたサメラのだと思える荷物の鞄と大刀を肩にかけて。 セシルは、目をしっかり見て言葉を紡いだ。「お帰り。」と。そしてしばらく間が空いてから「……ただいま。」なんて返事が来た。 ちょっと恥ずかしげに視線を逸らし、俯きがちに、返事を返す姿は、新鮮に見える。 「夜餡の残り食べる?サメラの分も残してあるんだ。」 「いいのか?」 「仲間、だからね。それにちょっとした相談もあるからね」 困った風に笑うセシルにサメラは分かった。と返事して、荷物袋から器を取り出し鍋から移す。 「その、相談とは?」 「ファブール山脈に、」 「あぁ……季節風による寒波か。」 いわずもがな察してくれた。寒波により分厚い氷と雪によりファブールは海からしか入れないハズだ。 「あの…リディア。だったか?」 「バロンの策略により、僕がミストを…。」 「あぁそれで。てっきり兄弟か何かかと思ったが。何となく理解出来た。だから、私が魔法を使えないか?だな。」 鋭い私的にセシルは気まずいように首を縦に振った。残念ながら、魔法は使えないが溶かす方法はあるが…私の楽な道を行くか?彼女を説得し勇気を出させるのも一つの手だが…。 そこで、妙な間が開いてから、サメラがまた口を開く。 「火は確かに怖いものだ。」 薄れていた飼われている時代を思い出せば、芸として火の中に入れられかけた事もあったが、それはどうでもいい。 「だが、火は近くにあるものだ。」 肉や魚を焼くのに火は必要だ。それに、暖かなスープや飯にも、風呂にも必要なもの。懐かしい記憶の中に、火は近くに有るはずだ。普通、ならな。 火は奪う事もあるが、同時に魔を志すものならば征する手だてはいくらでもある。説得するしないはセシルが決めればいいし、これを説得の材料にするもしないもお前の自由だ。 そう告げて夜餡を全て流し込む。 「…逆に私からも質問させてもらうが。」 こんな不味い飯を作ったのは誰だ。差し出したスープ色は、なんとも言えない色をしていた。 「旅の食材で何をしたら、こうなるんだ?」 「い、いや…ローザが…」 「…そう言う事か…」 二人で同時にため息をつく朝の話であった。 前 戻 次 ×
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