セシル達はダムシアン砂漠を抜け、ファブール山脈を越えてファブールに向かう途中だった。 バロンが世界中に戦争を仕掛けようとしているのを、セシル達一向はファブールのクリスタルを守るために、ダムシアン砂漠から東に向かい山に入る前に森の入り口でキャラバンが野営をしていると聞いたが、どうしてこうなっているのか訳が分からなかった。 呆然としたふうに燃えるキャラバンを見つめた。 「燃えてる…」 「リディア」 「ね、セシル。あそこ。」 ローザが何かにつけて気がついたらしく、ある一点を指差した。 赤の中に沈む白のコンテラストのおかげでハッキリよく見えた。人のような形をして、いるのが伺える。 「おばあちゃんだよ、セシル」 「ちょっと行ってくるよ。ギルバート、リディアを」 「勿論」 セシルは足元にしがみつく幼女リディアの頭を撫でてから、タッタタッタと駆け白を柔らかく揺らす。返事がない。熱気に当てられた肌は赤く、熱をもっているのが直ぐに理解できた。 意識はないが脈があることを確認してセシルは白を抱え、留時にその顔が見えた。年寄りでなくローザと似た年頃若い女だと気がついた。 ローザに見て貰えれば、大丈夫だろうと、心持ち早く歩き出した。破壊された鎧は重たいが、それ以外は酷く軽い女だと、思ったが、彼女もまた戦う者の手をしていた。何があったのか思考を巡らせれども、このキャラバンがバロンが危惧する集団なんだろうか。疑問が色々巡れども、答えは出ずに、堂々と回り巡る。 「セシル…。」 「まだ息がある」 「なら、少し戻ったところに洞があったから、そこまで戻ろう。いつまでも安全だとも言えないから。」 「そうしよう。」 軽い重みを抱え、少し戻った洞に着き、一夜をあかそうと話が落ち着いたので、ローザに容体を見てもらったが異常もないと言うので、一安心だ。とにかく落ち着いた。火を起こし夜餡の支度を大人全員で取りかかりリディアに彼女の隣に居てもらい、不器用ながらに支度が進む。 「セシル。起きたよ」 「こ、こは…」 セシルはひどく錯覚を覚えた。 星色のような銀色な、真夏の空のような青に、自分と似た色に。 「大丈夫?」 「…あいつは…」 体を起こし周りを見つめる彼女の表情は、酷く苦々しいものだった。 前 戻 次 ×
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