ルドルフ | ナノ


武器を見立て体を動かし、交流をしながら時間はゆっくりと進む。とりとめもない時間を過ごしながら、サメラは皆が寝静まった頃に一人火に辺りながら、ぼんやりとしていた。向こうの方からエッジがやってきた。

「なにやってんだよ?ルドルフ」
「色々考えていた。」

とりとめもないことだ。と告げれば、ふぅんと鼻を鳴らしながら、エッジがサメラの向かいに腰を下ろす。昔話でもしようぜ。と言わんばかりにエッジが口を開いて、おめぇ覚えてるか?と話をし始める。

「あれって、二度目だったか?」
「四度目だ馬鹿者」

団員が増えたり減ったりすることは、少なくはなかった。薬師の婆様がもっていた薬研が存在することを知ったときの話は、エブラーナに四度目に行ったときだった。

「あの薬研は今でも使ってるぞ」
「よきモノはよき場所で使われてこそ本望だろう」

なぁ、ルドルフ。バロンとの話が終わればやっぱりエブラーナに来ないか?お前も忍者の触りなら知ってるだろうし、見込みはあんだよな。
お断りだ。見えない先の話なぞ、死体に話すのと同じだと言ってるだろうが。

見えない先に灯りはいらない。足元まで灯せるのがいい灯火の条件だ。と団長は言っていた。こうして考えれば、確かにそうだとサメラは思う。手元だけでは足元は見えず、足元だけを照らすなら持ち歩くには不便なもので、身の丈にあった生活をしろということか、なんて思うが、恐らく楽天家の団長だから、堅苦しくなく生きるための無理やり作ったこと言葉なのかもしれない。そう考えると納得できた気もする。

「でもよ。ルドルフ」
「しばらくの家はバロンだ。」

終わる頃に、また考える。それでいい。旅は自分で終わらせれる。いつか、はな。

「お前は、この10年で何を手にした?」
「親父やお袋の愛したエブラーナに寄せれた。」

よき事だ。といえば、お前は婆臭くなったな。と呆れられた。呆れられるような覚えはなかったのだが、サメラは首を傾げてみたが、縁側でおめぇが茶なんざ啜ってる姿なんざ見たくねぇ!とか言われた。黙れと一撃食らわせて、昔から結局変わんないなぁ。と思いつつサメラは、人知れず息をする。

「そういえばよ、ルドルフ。カインとなんかあったのか?」
「どうした?」

なんか、前のヤツが終わったときに普通にカインって呼んでなかったか?そうだったな。なんで、また竜騎士に戻ってんだ?さぁ。しらないな寝る。
適度なやりとりをしながら、サメラはお休みと残して、寝に移動していった。
一人残されたエッジは、また振られたな。とカラカラ笑うだけであった。


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