セオドールを訓練場に置いてドアを閉めれば、通路の先にカインがいたのを見つけた。どうも、彼は入るタイミングを逃したらしく、ドアの音ともにこちらをみて、ばつの悪そうな顔をしていた。 「おまえたちがなかなか戻ってこなかったから、呼びに来たんだが」 「ま、あと少ししたらあれも来るだろう。問題ない。行くぞ」 あれにも考える時間も必要なんだろう。と勝手にサメラは判断して、ふと足を止める。戦闘したときの武器が一つしかないのはいささか心もとないなと思って歩いていたのをプロムたちに呼び止められ、こっちに足を伸ばしたのに、本来の目的を忘れていた。止めた足に気付いてか、カインがどうした?というように、顔を覗き込んでいた。 「メインの部屋に戻る前にちょっと付き合え。」 武器が心もとなさ過ぎる。と継ぎ足せば、お前はどこで戦闘しようとしている?と投げ掛けられる。 戦闘はするつもりはないが、いざというときに何もなければやりにくいぞ?といいつつ、カインの槍を一瞬にして奪い取り、いいものだな。と品定めをする。 おい、と起こられたので、お前はどこで戦闘しようとしている?と投げ返すと返事に詰まっていた。 したり顔で槍を返して奥に進むと、機械の鳥がそこで寝ているので、叩き起こし用件を伝えると鳥は眠たそうな眼を擦りながらも要望に答えてくれた。 先の大戦で預けた武器だったが、問題なく使えるのを確認する。 「結構な数があるんだな」 「軽くの鍛冶もしたことがあったが。」 そんなに得意じゃない。と返しつつサメラはカインに一本の槍を投げ渡す。やる持ってけ。と付け足しながら、荷物の山崩しながらサメラは武器の選別を始める。照明具に刃を照らしながら、ついでに整理もしているようでがらくたから薬研など様々なものが溢れ出ている。 「気に入らなかったら売るなり誰かに下げるでもすればいい。」 「どういう気まぐれだ」 「同じものは四つも五つも要らないからな。」 ついでだし。プロムの分の武器でも見繕ってやるか。と、ロッドとダガーを見比べながら、んー?と首を傾げている。たぶん、そんなのやると全員のをしないといけなくなるぞ?とカインが投げ掛ければ、確かにな。といいつつ、手を動かすのを止めない。どうやら、やる気は有るらしい。呆れるようにため息をつきながら、なぁ。とサメラはカインに声をかける。 「バロンはどんなところだ?」 「さぁな。自分の目で確かめて見ろ。」 世界はお前が思ってるよりか幾分優しいぞ。だといいんだがな。まぁたぶん中々バロンからは逃げられないだろうな。……セシルか。想像通り試練の山に何度も使者を送っては来てたがな。ま、顔見知りもいるしな、のらりくらりは専売特許だからな。つつがなく働いてやるよ。 打てば響くような会話も、最後の防具を片付けたところで切られた。小さなダガーしか持って居なかったサメラが、見事に旅の装いをしていた。 だからお前はバロンでこれから働くんだろうがそんな格好をしてどうすると、雷を落とされるのであった。 前 戻 次 ×
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