そんな言葉にサメラは、は!?と、いつも以上に大きな声で、素っ頓狂な声色で、そう言った。 見ず知らずの少年が、少年よりも小さな、少女に師を講たのだ。 「断る。」 「強くない。」 「ガハハ、盛大にフられやがったな。まぁ、とりあえず家の方まで送ってやるよ、乗んな。」 団長を挟みサメラと少年が座る。話を聞けば、道行く先エブラーナに住む少年だと言う。 「なぁ。お前、どうやって強くなったんだ?」 「……」 「サメラ。呼ばれてるぞ。」 少年になげかけられてもサメラはプイと余所を見て、なにも無かったかのように振る舞い続けている。 「…何?」 「お前、俺の話。」 「聞いてない。」 真っ二つに切り落とすサメラと少年のやり取りにクツクツ笑って団長は気が付いた。サメラの周りには大人しか居ないことに。 サメラの次に若いのは、色を無くしたホラ吹きだ。彼だって、成人してしばらく立つと記憶している。 欠けたものを持つキャラバン。三番目の魔術師。世界に棄てられた人間が集い肩寄せ、生きるキャラバンである。 行商し興行し、生きるために戦いも辞さない集団。無いモノをあるように魅せ、有るモノも無いように見せるからこそついた名前が魔術師だ。 「なぁ、頼むって、な!な!」 「……こ、と、わ、るっ…!」 「俺とお前の仲じゃないか!」 「まだ30分も過ぎてないが?」 「助けてくれた恩返しにさ!」 「普通はお前が恩を返すんだ」 「特別な関係って事だろっ!」 「見ず知らずが特別か…?。」 「この通りだって、な?な?」 「態度とセリフが全く違う!」 「待ってたぜ、ツッコミを!」 「お前は何を期待してるんだ」 くだらない押し問答を重ね、先に根をあげたのはサメラであり勝手にしろ。と言い捨て、ふらりと荷台に帰っていった。 「悪ィな。アイツもまだガキンチョだかんな。坊主、名前は?」 「…エッジ。…エドワード・ジェラルダイン」 「たまにはコッチに来てやるから、鍛錬つけてもらえよ。アイツも年の近いダチが居なくてな。付き合い方も知らねえんだよ。」 これ以上1れが言うのも筋が違うから、エドワード、お前からサメラに聞いてやってくれ。と団長の言葉で、全ての会話が切り上げられた。明日重たい空気の中、馬車はエブラーナに進路を向ける 前 戻 次 ×
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