ルドルフ | ナノ



ついに日は来る。
見慣れた景色が流れ、懐かしい匂いが鼻面をなぞる。

「サメラ。これ、もってけ。故郷寄るんだろ。」

俺達みたいな、無いものばかりの集団だけど、お前の親ならお前の元気な姿みたいだろうし、まぁ団長と一緒に行くんだろうが、魔物も力をつけてきているしな。と武器屋の親方がサメラに分厚い刃のある武器をくれた。

「ナイフ見てぇだが、この武器はな、伸びて薄い刃になる」

槍や双剣、畳み方次第ではレイピアとかにもなるぜ。俺の会心の出来だ、と満足そうに笑って背中を押してくれた。他の団員もあれやこれやと持たせてくれて、サメラの鞄が膨らんで閉じ切らなくなった。

「ま、すぐ帰ってくるから。明後日に、またな。」
「サメラ、団長をよろしくね」
「お、おい。ヴィクセン!」
「まぁサメラなら団長を振り回せれるわ。きっと、女の子だもの」

ふわふわ笑う魔導師は、うんうん。頷き、サメラと団長を場所から下ろした。

遠くに消えゆく馬車を見送り、森の中に姿を消すまでサメラは、手を振り付けていたら、誰かの声が聞こえた気がした、振り返れど、何もない。

「サメラ?。行くぞ。手」

差し出された手を握り、細くなる道を歩く、ただ二人は黙々と歩いた。木々を踏み森に入る。この森の道中にお母さんと一緒にいた頃の家があり、抜ければ町にたどり着く。見慣れた木があった。町に出る時の目印にしていた木だ。

「まじかよ。」

その木を境目に森と砂礫の大地がくっきり線引きされていた。大好きだった家も、母親の姿もない。

「サメラ。お前はどうしたい?」

サメラは団長の腕に抱きついたままで首を振ることさえもない。幼い子なりに受け止めようとしてるのだろうか。

「とりあえず行くか。」

うん。と言うような感じで服の袖を掴んだ。団長はサメラが飼われている的から知らないし、知ってる濡飼われた経緯は下品な笑みを浮かべていた飼い主だけが知っている。

もしやサメラが砂礫をとも考えたが、事実は死んだ飼い主のみが知るはずだ。その事実が掴めるかも知れないが兎に角。

「…この報告もしにゃあならんな」

めんどくせーなーもー。あとで憂さはらさねぉとなー。と呟きながら、町を目指して砂礫を踏んだ。



×