演舞 天の川にかける思い 5e 






結果はぼくたちの負け、でしたけど。でもある程度やりたいことはできたのでぼくには問題ないですよ。これからゆっくり時間をかけて、『fine』の牙城をくずせばいいのですから。人気のない中庭で、終わった後のケアを行う。思った以上に声がかすれていて、二日ほど声を出さないほうがいいかもしれませんね。まぁ、多少出しにくいだけなので問題はありませんけど。
ふてくされるように近くのベンチに座り込むと、少し離れたところでは人形遣いと、深海くんが話し込んでいる。みかは先ほど、買い物に行ってくるといって走っていったのを思い出しました。
周りがどうこうだと言ってるのを聞きながら、ぼくはうつらうつらと船をこぐ。今日のライブにより心地よい疲労感を感じていると体が重くなって意識がふわりと浮いた気がしているとゆさゆさ揺さぶられた。

「央兄ィ!こんなところで寝やんとってー!!」
「はい。起きてますよ。大丈夫です。」

ほらーお師さんところいくでー。とみかに手を引かれて歩き出す。まだ眠たくて目をこすりながら歩いていると、人形遣いが今日はすまないね。と言い出した。ぼくは、やりたいことがあったのでいいんですよ。といえども、少し声はかさついていて。人形遣いがいぶかしげな眼で僕を見る。ぼくは適当にはぐらかしておくことにした。多分この調子だと、しばらくしゃべるな。と言われそうなのでぼくは肩をくすめた。

「今日明日は、ひたすら寝て体力回復に努めるので、人形遣い。邪魔しないでくださいね。」
「わかったから君はしゃべるな。これ以上喉を傷めなくていい。」
「ぼくは、琺瑯人形じゃないですから、それはご安心ください。大丈夫ですよ。ぼくは、穴倉の生命判断装置のカナリアですよ。」

繊細にできていても丈夫に生きるものですから。





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